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「それじゃあ、ね。みんなも気をつけて帰ってね」
「ぎゃ!ちょっと不二くん!!」
「(いいからAは黙って)」
あ、はい。不二くんに手を引かれ後ろからの冷やかしの声を感じながら急いで二人で校門の外にでる、私の脳内にはただ越前くんに変な誤解だとかそういうものを持たれていないか心配で、その心配が伝わっていたのか不二くんがまたあやすように私の頭を撫でる
「Aの考えてる事をリョーマが思っているなら、僕達の行動も何とも思わないよ」
そうだね、と言いたかったけど声が出なくて、俯いた私に不二くんは「意地悪言ってごめん」と目尻に浮かんだ涙を拭ってくれた
「ところでA」
「う、うん」
「後から付いてきてるよ、こっそり」
「え?なにが…」
私が振り向こうとするのを不二くんにそっと肩を抱かれ止められ、そして耳元で「大石達……リョーマもいるんじゃないかな」と囁かれる
「おおかた、僕達のことが気になってついてきたんじゃない?手塚は当然いないけど」
「だろうね」
「てなわけで約束してることがあるって言っちゃったし、Aの家まで送るのは変更、僕の家おいで」
「へあ?!!不二くんの家?!な、なじぇにふむむむむ?!!」
「ちょっと声大きいよ」
私の声を手で塞いでいるのを後ろに見られないように不二くんがそっと私の首元に顔を寄せ囁く
こんなの傍から見れば、路上でいちゃつくカップルじゃないか。こんなの越前くんに見られたら、本気で…
私が体を押すと不二くんはあっさりと離れて少し早足で歩き出す
「…それにしても意外だな、まだ来ないなんて」
「え?」
「あぁ…こっちの話。大丈夫、家に招いたからって襲ったりしないよ。今日は家族もいるしちょっと玄関で立ち話して帰るくらいにね」
「でも、だったら私の家でも…」
「君が初めて入る男の家が僕の家っていうのがミソなんだよ。とにかく変な心配はしないで」
「でも、でも、これで、もし越前くんが何も反応を示してくれなくて…っ…あっさり別れようって言われたら、わたし…」
「A…」
立ち止まってポロポロと涙をこぼし始めた私に不二くんが目を見開いて、小さく「ごめん」と呟いて指先で涙を拭ってくれる
「わたし、怖いの…越前くんに、何も思われてないって…」
「うん…ごめんね、少しだけ僕も突っ走っちゃった。ごめんね」
私と目線を合わせようと不二くんが屈んだ時、
「それ以上、触んないでくれます」
小さな体が私の前に現れた
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HarukiTakuya070(プロフ) - はじめまして、俺だけを見ての不二先輩のリョーマの呼び方ですが『越前』呼び捨てだと思います。 (2018年5月4日 5時) (レス) id: 53d7f5d75e (このIDを非表示/違反報告)
しろみや(プロフ) - 梅田さん» ご期待に添えたようで良かったです!話はもちろんですが主人公も褒めていただけて喜んでいると思います!こちらこそリクエストありがとうございました! (2018年2月18日 23時) (レス) id: e7d70fed0d (このIDを非表示/違反報告)
梅田(プロフ) - しろみやさん» 早速読ませていただきました。このお話に限らずですが、しろみやさんの書かれるヒロインちゃんがとても可愛らしくて素敵でした。書いてくださってありがとうございました! (2018年2月18日 22時) (レス) id: e6673e6f1b (このIDを非表示/違反報告)
しろみや(プロフ) - 梅田さん» 続編の方でリクエストのお話更新しておきましたのでお暇な時にぜひ読んでください (2018年2月18日 21時) (レス) id: e7d70fed0d (このIDを非表示/違反報告)
しろみや(プロフ) - 梅田さん» 長編も読んでくださってありがとうございます!宍戸さんは初挑戦ですが頑張りますね!リクエストありがとうございます! (2018年2月18日 19時) (レス) id: e7d70fed0d (このIDを非表示/違反報告)
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