【文スト】私の周りが平和すぎる2 (ページ1)

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第二章～仕事してない～「紅葉姐さんとお祭り」① ページ1

「そういや、姐さんがこの前、最近お前に会えてなくて寂しいって言ってたぞ。」

中也兄さんが、思い出したように、嬉しいことを言い出した。

「本当ですか？連絡くれればいつでも会いに行くのに……。」

「今度マフィアに顔出せよ。講義終わった後でも良いから。」

「そうします。」

紅葉姐さん最近会えてないからなー。来週中にはお邪魔しよっと。

「いやすっごいニコニコ顔だね、Aちゃん。」

「え、顔に出てます？」

「あぁ、出てるぞ。」

「そりゃまー、大好きですから。姐さんのこと。」

「なんかないの？姐さんとのエピソード。」

そう言われてちょっと考えてみる。
姐さんにはよくお世話になっていたから、エピソードなら腐るほどあるが……

「お祭りに行った話とか、どうでしょうか？」

マフィアに入っててから2，3か月しか経っていない頃だったと思う。
自分としても前よりは笑うようにはなったものの、環境が大きく変わったのと、両親の死をまだ引きずっていたからか、表情は暗い時の方が多かった。
あんなある日、あの時の私はまだあまり慣れていなかった紅葉姐さんが、私をお祭りに連れて行ってくれた。

「……浴衣着るの、久しぶり。」

そう呟くと、頭を撫でられた。

「そうかそうか。それにしても、愛いのう。よく似合っておる。」

顔を上げて、自分を優しく撫でてくれる人物を見つめる。

尾崎紅葉……中也兄さんの世話をしている人。
まだあまりこの人のことがよくわからない。
今日だって突然、本当に突然、ここに浴衣を着せられてお祭りに連れてこられた。

「尾崎さん、あの……。」

先程から携帯で私の写真を撮りまくる尾崎さんに、私は戸惑いつつ、話しかける。

「姐さんで、良い。どうした？何か問題でもあったか？」

いや問題と言われればこう写真撮られ過ぎでフラッシュで目が痛いということがあるけど、そうじゃなくて、

「なんで突然、お祭りに……？」

「……気分じゃ。あとでAの大好きな中也も来るぞ。」

そう言ってにこりと笑い、尾崎さんはまた私の頭を撫でた。