・ 蘭side ページ35
曖昧な意識の中、手探りで
隣にあるはずの温もりを探す。
抱き寄せたものはあまりにも小さくて、
ボヤけた頭でもすぐこれじゃないと分かった。
…Aちゃんが俺の代わりって言ってた
紫のテディベア。
未だにこれを抱き枕にしながら
俺にホールドされて寝てる。
クリっとした目と俺風の色が憎たらしいって
竜胆に愚痴ったら｢ぬいぐるみに嫉妬してんの｣って
笑われた。俺にとっちゃ死活問題なんだけど。
Aちゃんを捕まえれないもどかしさに
起き上がりぼやけた視界で隣を見る。
｢Aちゃん…？｣
あれ。居ないの？
もう一度しっかり目を凝らして灯りをつける。
｢……！？｣
さっきまで寝ぼけてた脳が一気に覚醒する。
どこに行ったの？
リビングに行くとソファで丸くなったソレが…。
クッションを抱きしめて鼻を啜りながら
肩を震わせながら小さくなってる。
声を必死に殺してるが、
時折殺しきれなかったか細い声が漏れる。
｢風邪ひいちゃうでしょ。｣
『…ﾝｯ………』
｢お顔見せて。｣
そう言って頭に手を置くと、勢いよく
首を横に回して俺の手を振り払う。
女の涙なんて面倒くさいだけ。
でもコイツの涙なんて見たら、
その涙をオレの手で消したくなる。
泣いて欲しくない。お前だけには。
無言で抱きしめると、予想通り暴れだしたけど
そんなの気にしない。
｢全部オレに委ねていいよ｣
躊躇い気味にオレの背中に手を回して
さっきよりも少しだけ声を出して頭を押し付ける。
ちょっと服が濡れちゃうくらいで
彼女が楽になるならそれで良い。
子供をあやす様に彼女の背中をさする。
｢どうしたの？｣って聞いても、きっとキミは
｢何でも無いよ｣って答える。前みたいに。
｢止まんないねえなあ。いっぱい泣いとけ〜｣
知ってるよ。
Aちゃんは｢甘えたいだけ〜｣とか｢気分｣とか
言ってたまにオレに夜中に縋り出すけど、
ホントは音を立てないように泣いてるって。
テディベア買ったのだって、抱き枕とかじゃなくて
オレの帰りが遅くって寂しいからでしょ。
だから最近は、涙の跡を目によくつけてる。
ホントは心配なんだよ？
何が不安なの？もう少しオレに甘えてよ。
付き合う前からそうだった。
何でキミはたまに悲しい顔をするの？
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スイ(プロフ) - 鮭るすさん» ありがとうございます！占ツクはだいたい1000文字前後の奴が人気的なの聞いたので、それなら良かったです！期待に添えますように、私なりに頑張りますから、どうぞ宜しくお願いします✨ (2021年12月7日 16時) (
レス) id: 771f7046af (このIDを非表示/違反報告)
鮭るす(プロフ) - 失礼します🙇好きな作品で更新の度楽しく拝見しております☺️私的には一話で充分な話の量で満足度高いかなと感じております...！個人の感想ですが、そのままの構成で全然バッチグーです！これからも更新楽しみです！頑張って下さい✨ (2021年12月6日 23時) (レス) @page29 id: 5e1e537420 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：suiren | 作成日時：2021年11月18日 5時
