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カーテンの隙間から入ってくる陽の光によって目を覚ます。目の前には胸元、寝た時の体勢からほぼ変わっていない。
腰には彼の腕が回っていて、足は絡み合っていて。
見上げると、すぅすぅと寝息を立てる姿。
「よかった、寝れたんだね。……綺麗な顔。」
長い睫毛に高い鼻。
薄くて綺麗な形の唇に触れると次の瞬間、
かぷり、と甘噛みされてしまった。
「あ、ごめん起こした?」
「誰かさんが襲うからだろ。
……なにキスしてぇの?」
「だって、あまりにも綺麗な寝顔だったんだもん。…したいのは竜胆じゃないの?そんな顔してる。」
「お前さ……。ほんと、ナマイキ。」
そう言い、少し気まずそうに視線をずらしたかと思えば私の顎をくい、と持ち上げた。
自然に目を瞑りツンと唇を突き出すも、彼がそれを押し付けたのは私の額だった。
「…あれ、口にしないの?」
「ん、ムカつくからしてやんねーよ。」
ったく難しい女、なんて悪態をついた彼が状態を起こしたためそれに続く。
お前今日休みだろ、何すんの。という質問に対して蘭さんと食事に行くという回答をすると、いきなり咳き込み出す竜胆。大丈夫?と背中をさすりながら顔を覗き込むと少し不機嫌そう。
「何で兄貴と出かけんだよ」
「行こうって言われたから…。」
他に何があるの?と聞くも、「お前ほんと…」と頭を抱えてしまったため答えは貰えなかった。
◇
◇
「あれ?竜胆も一緒に来たんだ?」
「……わかってんだろ、兄貴。」
「ま、いーけど?面白そうだし。」
車で迎えに来てくれた蘭さんが私たちの姿を捉えるとにやりと何やら悪い顔をした。
面白そう…というのはどういうことだろうか。
「Aちゃんは助手席ね、はいどーぞ。」
「兄貴!」
「そりゃ可愛い女を隣に乗せたいに決まってるだろ〜?お前は黙って後ろ乗ってな。」
助手席のドアを開けてくれて、さぁ乗って?なんて微笑む蘭さんの顔が綺麗すぎて眩しい。
「蘭さん…本当慣れてますね。モテそう。」
「まぁ、慣れてるのもモテるのも否定はしないかな。でも助手席のドアを開けてあげたのはAちゃんが初めて。」
「そうなんですね、嬉しいです。」
ありがとうございます、とお礼を伝えるも「響いてねぇな〜」なんて笑われるし、後ろの席からは舌打ちする音が聞こえた。
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睡魔ちゃん(プロフ) - チョコプリンさん» こちらにもコメントをくださりありがとうございます。とても嬉しいです。いつか番外編のようなものが出せたらいいなと思っています!! (2022年2月18日 23時) (レス) id: 0343b2f4d3 (このIDを非表示/違反報告)
チョコプリン(プロフ) - コメ失礼致します💦好きな子を一途に大切に思っている竜胆に惚れました…いい味出して下さるお兄様も最高です🥰素敵な作品をありがとうございます! (2022年2月15日 11時) (レス) id: e53e09d499 (このIDを非表示/違反報告)
肯定ぺんぎん(プロフ) - 睡魔ちゃんさん» 睡魔ちゃん様が私のお話を読んで頂いていたとは…感無量です!!身に余るお言葉、本当に嬉しいです。新作、早速お気に入りさせて頂きました!更新お互い頑張りましょうね! (2022年2月6日 22時) (レス) id: c944845778 (このIDを非表示/違反報告)
睡魔ちゃん(プロフ) - 肯定ぺんぎんさん» はじめまして、コメントありがとうございます!貴方様のお話、読ませていただいております!私とは比べ物にならないくらいの語彙力と表現力に仰天しました。お互い執筆頑張りましょうね! (2022年2月5日 19時) (レス) id: af7842152a (このIDを非表示/違反報告)
肯定ぺんぎん(プロフ) - 睡魔ちゃん様、はじめまして。初コメ失礼いたします。最初からずっと読ませて頂いておりました。まっすぐ愛してくれる竜胆に心を溶かされました…素晴らしい作品に出会えて嬉しいです。完結お疲れ様です!次作も楽しみにしております! (2022年2月5日 11時) (レス) @page30 id: c944845778 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:睡魔ちゃん | 作成日時:2022年1月19日 20時