黄緑色と約束と.2 ページ2
「ほら。せっかく連れてきたんや。星ちゃんと見てや」
『そうです、ね……うわぁ…………』
見上げるとそこには満天の星空。
一番高い場所で見ているというのがあるからかその星空はとても綺麗で私は言葉をなくした。
例えていうならなんだろうか、自然のプラネタリウムとでも言うべきか。そのくらい星はしっかりと周りの明かりに邪魔されることなく輝いていた。
「……合格?」
『とっても綺麗です!!こんなの合格に決まってます!!素敵……』
そらよかったわ、とクスクス笑うゾム。
幼い子供を見るようなその感じに少し興奮しすぎたな、と恥ずかしくなって無言でそっぽを向いた。
「……なぁ」
『?どうかしましたか?』
暫くの沈黙の後呼びかけられる。
振り向いてゾムを見るとフードや髪の毛に隠れて見えづらくはあったがどこか真剣そうな顔を浮かべていた。
もう少しで顔が見える、と思った瞬間ぐいっと顔を戻され見る事は叶わなかった。残念。
「……秘密やから」
『へ?』
「ここの場所、この約束。俺とAだけの秘密やから。絶対他の人頼らんで。一人でも行かんで。星見たいってなったら絶対俺呼んでぇや。仕事中やろうと連れてったるから」
どこか懇願する様な声で呟くゾム。
その約束内容はとても簡単なもので私としてもそのつもりだったから拒否感は全くなかった。
けれど私だってもう大人だ。相手が忙しそうなら我慢くらいできる。
だから少し笑って答えた。
『……お仕事中はお仕事してくださいね?』
「……おん」
『ふふ。じゃあ約束です。私絶対にゾムさんにしか星見に連れて行ってって言いません』
「ふ。約束やで?」
『はい。約束です』
ぱぁっと明るくなるゾムの顔。
もし私とのこの約束が彼の中でも息抜きになるなら。
そうだったらとても幸せだな、と思いながら笑った。
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.*桜餅*.@柿の種軍団_副団長(プロフ) - 凄く面白くて、最初から一気に読んでしまいました!私も作者やってますが、こんなに素敵な作品作れません…!体調に気を付けて更新頑張って下さいね!応援してます! (2021年1月10日 22時) (レス) id: 61b4604950 (このIDを非表示/違反報告)
みかん(プロフ) - 低評価荒らしでしょうか…?反抗するためといってはなんですが、星10を押させて頂きました、これからも応援してます!頑張ってください! (2020年12月15日 23時) (レス) id: e30e1010c9 (このIDを非表示/違反報告)
蓮 - 続編おめでとうございます!!とても読みやすくて好きです!更新頑張ってください!応援してます! (2020年12月14日 1時) (レス) id: dc1a08746a (このIDを非表示/違反報告)
わらび餅ィ(プロフ) - 続編おめでとうございます!!これからも楽しく読ませて頂きます!( ̄^ ̄)ゞ (2020年12月6日 15時) (レス) id: a969f38b6e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:螢 | 作成日時:2020年12月5日 20時