逃亡と準備と ページ10
さて、この国からおさらばすると決めても準備が必要だ。
なんせこの国は周りが壁で囲まれており、4方向に一つずつしかない検問所を通らなければならない。
そこでまず考えなければいけないことは何処に行くか。
東は私が住んでる場所に一番近い検問所だ。多分逃げたと知られれば即座にここが疑われるだろう。ナシだな。
次に南。南は治安が悪いと聞いたことがある。流石にそんなとこに行く勇気もないのでナシ。
そして北。北はどうも白の国という異名があるくらい雪に覆われているらしい。凍え死んでしまう可能性があるためナシ。
最後に西。ここは一番遠い検問所だしいい国だという噂を聞く。気候もこことほとんど変わらないらしいし決まりだな。
行く方面が決まれば次にやる事は持ち物のチェック。
まずはお金。大量にあるわけではないがないよりかはマシだろう。
次に毛布。行く先々で宿になんて泊まってたらお金が尽きる。そのため基本的には野宿をする事にした。その時用だ。
後は細々したもの。それらを全て入れ終わると鞄はパンパンになっていた。
さて行く方向も決め準備も終わった。最後にやる事は―
変装だ。
街に出て焦げ茶色の染料と筆、それと金髪のウィッグを購入する。
家に帰り、染料を少し水で溶かしてそれを筆に付ける。その筆をちょいちょいと鼻の真ん中辺りに付けていく。
これでソバカスの出来上がりだ。
髪は本当は染められればよかったのだけど黒髪に染料を入れても染まらないからとウィッグにした。
髪の長さも胸の当たりまでになり前髪もセンター分けに変えた。
流石に目の色までは変えられなかったがこれだけ違うと別人だと思われるだろう。
準備は整った。ここで真っ暗である夜、つまりこのタイミングに逃亡すると思うかもしれないが今回はそれをしない。ウィッグ等を買いに行った時に東の検問所を通ったが監視カメラの様なものが設置されていた。きっと検問所には少なくとも一個は設置されているのだろう。それに夜中に出ていく村娘なんて印象深いに違いない。もし探されでもすればすぐに見つかるのなんて目に見えている。となると決行する時間は決まっている。人通りが多く、検問所の利用率も高い昼間だ。そうと決まればさっさと明日に備えて眠りにつくのみ。
ベッドに入ってしみじみとこれからしばらくはこのベッドの感触は味わえないんだろうなと思う。
明日の逃亡が緊張しすぎてまるで遠足前日で眠れない小学生みたいだ、なんて一人で笑い眠りについた。
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みかん - おおおおおお面白いっ!!頑張って下さい 失踪しないで貰えると助かります (2020年11月28日 2時) (
レス) id: 400c5ef02d (このIDを非表示/違反報告)
ばか - 神ですか？神ですね (2020年11月27日 20時) (レス) id: c631d10487 (このIDを非表示/違反報告)
レーナ（アンテファン） - 続き楽しみにしてまーす！！！頑張れんこん！ (2020年11月12日 19時) (レス) id: c89295cbe6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：螢 | 作成日時：2020年10月3日 14時
