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家が近所で、親同士の仲が良くて。歳は離れてたけど俺たちは自然と一緒に居ることが多かった。だからこうやって家庭教師も任されて、全部上手く行ってたのに。
「 …… うそ、や 」
「 はあ?俺が嘘ついてるって言うの? 」
「 だって、よこが、そんな 」
嗚呼もう 今にも泣きそうじゃないか。俺のために流す涙じゃないならそんなもの邪魔なんだよ。
今月あと六日残ったカレンダーを引きちぎって、丸めてすばるくんの口の中に突っ込んだ。紙と擦れて口の端が切れて、まんまるの目を開いて俺を見る。
嗚咽しながらベトベトになったカレンダーを吐いて 何だか怒って喚いている。
「 なにすんねん大倉! 」
「 ヨコヨコってうるさいから 」
「 だ、って …… お前が …… 」
「 俺のせい?都合が悪くなったら全部俺のせいでヨコヤマはヒーローですか 」
「 へえ 随分と美化されたもんやな、ヨコヤマも 」
「 なんっでそんな言い方 」
泣きそうな顔が泣き顔に変わって、机に置いてあった携帯の画面が光って通知のお知らせ。ロック画面は仲良さげなヨコヤマとすばるくんのツーショットだ。
吐き気がする
「 すばるくん、人殺しがそんなに好きなんや 」
「 ひとごろし 、って なん、誰のこと 」
「 知らない?隣町で女の人殺されたって話 」
「 あれの犯人、まだ捕まってないねん 」
「 なに だからなんなん 」
顔が強ばって、服をぎゅっとつまむすばるくんの仕草がかわいい。必死に自分のヒーローを守ろうとするすばるくんは、やっぱりバカでかわいい。
「 俺さあ、見ちゃってん 」
「 …… 」
「 あのひ、ヨコヤマが 」
玄関のチャイムが鳴る。ああそう言えば、今日の日付にも緑の丸が。そして、4時の文字。
許してくれよ、一度嘘をついたらもう止まらなかったんだ。
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ぺぺ(プロフ) - コメント失礼します!oreoさんの甘くてすこしほの暗い感じの雰囲気がだいすきです:)よろしければ橙黒をおねがいします。 (2019年2月9日 0時) (レス) id: 3badf47f8d (このIDを非表示/違反報告)
Kちゃん(プロフ) - アーセナル攻めでエース受けで長編お願いします (2017年3月31日 2時) (レス) id: d53f1e00f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:oreo | 作成日時:2017年3月8日 22時