ついてない(黒川奏)(菫) ページ9
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起立、気をつけ、礼。
ありがとうございました。
そんな簡素な挨拶をしてから、リュックを背負い、鞄を持ち、教室を飛び出る。
今日は部活の日、愛しのトロンボーンちゃんが待っている音楽室に急ぐのは必然だろう。
階段をかけ降りようと意気揚々と廊下を私は歩いていた。
「黒川、お前掃除はどうした?」
『あ゛やば
中村ぁーどこ掃除か分かるー』
「教室だろ」
『ありがと!』
教室へ急いで戻る。
因みに今のは中村、普通にクラスメイトの男子だ。
掃除なんて聞いてないと思いながら、ロッカーの上に荷物を置き、さっきからここにいましたよという顔をして掃除を始める。
『何で部活ある日に限ってこう、掃除あるのかな』
「ねー、本当
部活始まっちゃうし、遅れたら言われるし」
『そうそう!』
同じく、今日掃除当番であり部活があるひーちゃんと愚痴りつつ、手はテキパキと動かす。
ひーちゃんはバレー部所属、1年目にして良い筋してると先輩に見染められお気に入り。
対して私は…。
部活は勿論楽しい、だが、愛しのトロンボーンちゃんには惜しくも片想い。
スライドのロック外し忘れるわ、抜けるわ、ぶつけるわ。
扱い方が雑なんだか何なんだか、どうしてもミスをしてしまう。
「今日の掃除終わりまーす」
『ありがとうございました』
そんな事を考えていたら、掃除も終わっていた。
『ひーちゃん、部活頑張ってねー』
「かなちゃんもがんばー」
私は今度こそ音楽室へ向かう。
固く心に誓い、リュックを背負い、鞄を持ち、教室を飛び出る。
いや、出ようとした。
「そういえばかなちゃん
川田先生から呼ばれてなかったっけ?」
『あ゛やば
どこいるか分かるー』
「職員室に来いって言われてたでしょ」
『ありがと!』
どこかで見た様に似たやり取りを終えた後、私は机の中からプリントの束を出し、音楽室にではなく、職員室目指して走り出した。
川田先生に授業後集めたプリントを渡しに来てと言われていたのをすっかり忘れていた。
あぁ、ついてない。
そう思いながら、放課後、人で溢れる廊下をかき分け駆け下り、職員室の戸を叩いた。
どうか、早く部活に行けますように。
ー
中村
_クラスメイト
掃除当番を忘れがちな奏に教えてくれる優しい男子
ひーちゃん
_クラスメイト、バレーボール部所属
奏と仲の良い女の子、良く言い間違えをする
川田先生
_理科の先生
奏にプリントを頼んだのは、近くにいたから
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ぱらら(プロフ) - 更新します(遅くなり申し訳ありません) (2022年6月4日 10時) (レス) id: 528bfd8f20 (このIDを非表示/違反報告)
雪音くん。 - 続き更新します (2022年4月10日 17時) (レス) id: 07fdfe6512 (このIDを非表示/違反報告)
雪音くん。 - すみません、時間がなくて一旦非公開にしました。数日のうちに続きも書いて公開します (2022年4月8日 12時) (レス) id: 07fdfe6512 (このIDを非表示/違反報告)
雪音くん。 - 更新しまーす (2022年4月8日 7時) (レス) @page21 id: 07fdfe6512 (このIDを非表示/違反報告)
紙絵師marice(プロフ) - 更新します (2022年4月7日 21時) (レス) id: e06cd5eee5 (このIDを非表示/違反報告)
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