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深澤さんは薬箱を下に置いて、わたしの隣へ座ると薬箱から道具を取り出しながら支度を始める。



深澤「背中見せてくれる?」


『はい、』


羽織を脱ぎ、帯を緩めると玉藻とマタタビが脱いだ羽織を前から掛けてくれる。着物と襦袢を脱ぐと前から掛けてくれた羽織を自分で持った。


『お願いします。』


深澤「うん。傷の手当てだけだから、呪い自体は消えないけど、何もしないよりは良いから。」


『、はい。』


深澤「少し沁みるよ。」


その声の後に背中に冷たいものが触れると傷口がズキンと痛む。


『っ、、』


深澤「すぐ終わるから。」


『はいっ、、』


深澤さんの言う通りあっという間に薬を塗り終わり、包帯まで巻いてくれた。


『ありがとうございます。』


深澤「うん。あのさ、」


『はい、』


薬箱を片付けながら、わたしの方を見ることはせずに話し始める深澤さん


深澤「涼太、なんか言ってた?」


『何か?』


深澤「いや、何も言ってないなら良いんだ。気にしないでね。じゃあ、また明日の朝様子見に来るから。」


『はい、』


そのまま深澤さんは少し早足で出ていってしまった。


玉藻「全く、、あんな言い方されたら気になるじゃないか。」


マタタビ「やっぱり、揉めてるんだ、」


『揉めてる?』


マタタビ「Aをここに匿うか、追い出すか。」


『あ、、、』


玉藻「でもね、あんたがどうこうってわけじゃないんだよ。」


『え?』


玉藻「あの子達にも、拭いたくても拭えない、忘れたくても忘れられない、悪夢のように纏わりついてくる過去がある。」


マタタビ「それも、陰陽師に関わることなんだ。」


『、、、陰陽師、、』


玉藻「その最悪とも言える運命を振り払うためにこの朧に来たのさ。」


『それって、、どんな?』


玉藻「それは、私たち妖の口からは言えないよ。話すか話さないかは、本人達次第。」


『そうだよね。』


玉藻「でも、わたしはね、Aの身に起こった事と、あの子達の事と、深い関わりがある気がするんだ。」


『そうなの?』


玉藻「ただの勘だよ。そんな気がするってだけさ。気にしないでおくれ。」


そう言って玉藻は襖を通り抜けてどこっかへ行ってしまった。


マタタビ「気になる言い方するのは、辰哉に似たんだろうねぇ。これだけ一緒に居ればしかないけど。
まぁ、あたしは朝までここにいるからさっ、安心して寝ておくれよ。」


『うん、ありがとう、。』


そう言ってくれたけど、マタタビはすぐに寝息を立てて寝始めた。


『寝ちゃった、、、』


外がどんどん暗くなって夜が耽っていくのが襖越しに分かるけれど、わたしの目は冴えたままだった。

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スヒョン(プロフ) - m.mさん» コメントありがとうございます!頑張って編集した甲斐がありました。お話も随時更新していくので読んでくださると嬉しいです! (9月7日 12時) (レス) id: 923ba31eb7 (このIDを非表示/違反報告)
m.m - 今回の動画胸熱すぎました!何回もリピしてます!小説も動画も更新楽しみにしてます! (9月6日 20時) (レス) id: c7ba4a52f7 (このIDを非表示/違反報告)
スヒョン(プロフ) - くみさん» くみさんコメントありがとうございます😊少しずつみんなの過去が明らかになってくるので読んでいただけると嬉しいです。 (6月12日 15時) (レス) id: 923ba31eb7 (このIDを非表示/違反報告)
くみ(プロフ) - 更新ありがとう御座います!毎回楽しみに読ませて頂いております!皆さん悲しい過去を背負って生きてきたのですね。・゚・(ノ∀`)・゚・。 (6月11日 21時) (レス) id: ac351487ee (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:スヒョン | 作成日時:2023年6月8日 13時

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