朧の都に棲む妖-4- (ページ10)

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佐久間「知詠、、？」

知詠はゆっくり目を閉じた。
さっきとは違って、安らかで、微笑んでいるようにすら見えた。

佐久間「知詠！、、おい、知詠！！」

『大介さん、、』

佐久間「嫌だっ、、なんでっ、、おい！目を覚ませ！！」

知詠よ体を揺らすけれど、知詠から反応は返ってこない。

阿部「佐久間、」

大介さんを阿部さんが制するように声をかけた。
大介さんは阿部さんを見ると何かを悟ったみたいで、悔しそうに顔を顰めて知詠を力強く抱きしめた。

阿部「なんで、朧のこと知ってたんだ、。マタタビのことも。」

佐久間「わからない、、。でも、少しだけ、思い当たる事がある。」

阿部「あれか。知詠が見た夢っていう。」

佐久間「いやでも、なんで、、」

阿部「とりあえず、照達と合流しよう、。」

佐久間「っ、、」

阿部「佐久間、、」

佐久間「、、分かってる。」

大介さんは、知詠を優しく撫でると、火の届かない家の中に寝かせた。

佐久間「ごめんな、知詠、、。守ってやれなくて、、ごめんな、。」

肩を震わせながら泣く大介さんを阿部さんが支えながら家を離れた。二人は名残惜しそうに、振り返りながらも、森とは逆の方に飛んでいってしまう。

知詠「にぃには、泣き虫だなぁ。」

『知詠！』

知詠は、家の中で横たわるもう一人の自分をしゃがんで見下ろしていた。

知詠「ずっとそうだった。にぃにはね、昔からあんなに強いわけじゃない、私を守るために強くあろうとして、わたしのためにここにきて、わたしのために妖憑きになった」

『全部、知ってるのね、？』

知詠「知ってる。ずっと見てたから。でも、このままだと、みんなだめになる。」

『ダメって、、どういうこと？』

知詠「みんな、陰陽師に騙されて、死んじゃうの。」

『、、どういうこと、？陰陽師には、確かに騙されて連れてこられたけど、その後妖憑きになって、朧で、』

知詠「その後よ。」

『え、？』

知詠「未来って、何通りもあるの。一つ一つ、それを見てきたの。みんなが、陰陽師の思惑に気付かない時もあれば、あなたが朧にたどり着かない未来だってあった。」

『未来、？』

知詠「わたしはね、生まれつき、予知夢を見る事ができたの。それを知ったのは、死んでからだったけれど。」

『、、予知夢、』

知詠「にぃにとは、本当の兄妹じゃないから。本当のわたしの両親がそういう力を持っていたのかもね。」