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知詠「そう。この時代の霊力を借りて、わたしに少しだけ、時間を、。」
『時間、？でも、触れられないし、』
知詠「やって。」
知詠はわたしの手を大介さんの影に強引に持って行く。
影がゆらりと揺れて浮き上がる。
掌からマタタビの妖力を感じた。
『どうして、？』
知詠「かぐやと妖の繋がりは、記憶の中でも関係ない。妖力同士なら繋がれる。残念ながら人間の体同士は触れることはできないけどね。」
『そんな事が、可能なの？というか、ここは記憶の中、？実際に起こった事なのね？』
知詠「聞いたんでしょ。」
『え？』
知詠「わたしはここで死ぬのよ」
『、、知詠、？』
私の腕を離し知詠は今度はもう片方の腕を大介さんの腕の中にいる知詠に向けるよう促す。
知詠「息があるうちに、少しだけ回復させて欲しいの。少しでいいの。時間を頂戴。説明なら、後でするから。」
『、、一つだけ聞いていい？』
知詠「なに？」
『これは、彼らのためになるのよね？』
知詠「逆よ」
『えっ、』
知詠「雪乃屋の人達も、朧の人達も、あなたも。助かる道はこれしかない。」
この状況も、何がなんだか分からないし、知詠の言葉を信じていいのかも分からない。
けれど、知詠の泣き声を聞いて咄嗟に助けなきゃと思ったのにはきっと訳があるのかも知れない。
『分かった。』
マタタビから貰った妖力を自分の体を通してぐったりしている知詠に流す。
かぐやには回復の力があると言っていた。
わたしなら、触れずに人の怪我や病気を治せる、？
知詠「んっ、」
佐久間「知詠？！しっかり！！」
知詠が目を覚まして視線に大介さんを捉えた。
わたしは咄嗟に隣を見るけど、さっきまで私の腕を掴んでいた知詠の姿はなかった。
知詠「にぃに、」
佐久間「あぁ、ここにいるっ、いるよ、」
知詠「にしの、と、とりいに、いって」
佐久間「えっ？」
知詠「みんなで、いって」
佐久間「何言って、」
阿部「佐久間、聞こう」
阿部さんが冷静に大介さんに言った。
知詠「みんなでいって、おぼろに、」
佐久間阿部「「？！」」
二人は動揺を隠せないようで、目を見開いで顔を合わせた。
佐久間「なんで、朧のこと、」
知詠「ねこさんたちと、みんなでいって、」
阿部「まさか、マタタビのことか？！」
佐久間「、なんで、」
知詠「ちよは、いけないから、」
佐久間「、え？、」
知詠「でも、まっててね、にぃに。きっと、会えるからね」
見えないはずの知詠と目があった気がした。
流れていた霊力が逆流する感覚に腕を引っ込めた。
佐久間「知詠、、？」
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作者名：スヒョン
| 作成日時：2024年3月2日 22時
