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知詠「どうして、、。こんなの、、わたしが持ってる記憶にないのに、、」
『えっ、どういうこと？』
知詠「どうして、、」
『知詠、どうなってるの？！』
動揺しているのか、小さな体をすくませた知詠は頭を抱えながら「どうして、」と呟いている。
山の下からは松明の灯りのようなものが段々と近づいて来ていた。
阿部「嘘だろ、気付かれるの早くないか？！」
岩本「急げ！！」
深澤「丈、千里を頼む」
藤原「はいっ、」
大橋「康二、どうするん？！」
向井「少しでも足止めして時間稼ぐしかないやろ！」
目黒「、にしても何で、、」
一番先頭にいる岩本さんは、鞍馬天狗の霊力と身体を融合させて、漆黒の羽と大きな刀を持って待ち構えている。
その後ろにいる佐久間さんもマタタビと融合していた。けど、始めた会ったあの日の綺麗な女性の姿ではない。耳と二股の尻尾を生やし、淡く桃色に光る髪と金色に光る目。
美しいけど、憎悪と憎しみを感じる。
近づいてくる灯りと怒号のような声が直ぐそこまで来ていた。
深澤「目黒と真都は下がってて、まだ使いこなせないでしょ」
村上「うん、」
目黒「悪い、」
目黒さんと真都さんの前に立った深澤さんの背後から真っ白な尻尾が何尾も出て来る。何かを押さえ込むように首元にぐっと力を入れて、陰陽師達が来る方角を睨んだ。
『深澤さん、、』
宮舘さんはフリカムイと融合すると、燃えているような真っ赤な羽を広げて、洞窟の上に立つ。
宮舘「ぞろぞろ引き連れて来たぞ。百、いやそれ以上か。」
渡辺「関係ねぇ。全員噛み殺す。」
向井「来るで。」
犬神の牙と鋭い爪。青い炎に包まれた刀を背中の鞘から抜いて、逆手に持って構える渡辺さん。
その隣で、向井さんが額当てを取る。すると、顳顬から橙色の角が二本生えたかと思うと、金色に光る目を見開いてそう言った。
錫杖の音が森の中に響くと、それまで聞こえていた怒号が止んだ。
松明が燃えるそこに、一際霊力を感じる男が立っている。
岩本「、、っ梁明、」
安倍梁明。真都さん達が話してくれた時の、妖討伐を命じた張本人だ、。
梁明は左手に錫杖を持ち、右手は胸の前で韻を踏みながら、薄み笑いを浮かべて、ジリジリと岩本さん達の方へ歩いて行く。
梁明「これは、なんと悍ましい。変わり果てた姿だ。」
わざとらしく眉を顰めながら、梁明は煽るように言う。
深澤「黙れ。お前の下手な芝居観に来たんじゃねえんだよ。」
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作者名：スヒョン
| 作成日時：2024年3月2日 22時
