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『知詠』
知詠「ん？」
『わたし、戻らなきゃ、』
知詠「、、うん」
『母上のかけてくれた術が、解けかけてるなら、陰陽師に見つかるのは時間の問題って事だよね？』
知詠「可能性の話だけどね。結界が守ってくれるかもしれないし、陰陽師がそこまで探知できないかもしれないけど、わたしがAに干渉できたってことは、術が解けかけていることはたしかだね。」
『分かった、。戻ってみんなに話さなきゃ。』
知詠「うん。わたしも、そろそろだし、、」
『え、、？』
知詠は自分の手を顔の前まで持ってきた。
着物や手がやんわりと避けた見える。
知詠「うまく行ったみたい。わたしの役目は終わり。」
『え、、どう言う事、？』
知詠「Aに記憶を見せて、記憶からの情報を伝えるのが私の役目。ほんとは、私が何とか過去を変えなきゃいけなかったんだけど。
ただ、どうしても、おかしなところがあったから、」
『、、おかしなところ、？』
知詠「わたしの力だけじゃダメだった。私だけじゃ、Aは生まれてこなかったし、にぃに達は朧に辿り着けなかった。
妖憑きじゃないわたしには、記憶を書き換えることもできないから。」
『待って、、。じゃあ、本来なら、私は産まれてないし、大介さん達は朧に行ってない、？』
知詠「そう。全ての条件が合わないと、現世は救えない。」
『、、、なんだか、、変な感じ、。未来の選択を間違うたびに、道を正していってるみたい、。』
知詠「、、うん。本当はね、自然の理に反することなんだと思う。でも、わたしが、死んでもなお、にぃに為に何かをしたいと願ったから、かぐや様はこの力を与えて下さったんだと思う。」
『、、思う、？、、ねぇ、知詠、一つ聞いても良い？』
知詠「なに？」
『かぐやに会ったの？』
知詠「、、え？」
『かぐやに会って、そう言われたんだよね？わたしや大介さんのために、記憶を見せるって、』
知詠「ううん、、会ってないよ、？死んだあと、声が聞こえたの。こうしろって、。自分はかぐやだって名乗ったよ。現世と隠り世を司る妖の神だって、。」
『、、、嫌な予感がする、』
知詠「え、？」
なんだか、辿るべき道を誰かに操作されてるような気がする。そんな気がするだけだけど、胸の奥が騒つくこの感じ。
わたしが、陰陽堂の地下に閉じ込められていた時に感じた胸騒ぎと同じ、、。
「おい！居たぞ！」
「逃がすな！！全員殺せ！！」
その声に、大介さん達が森の入り口に目を向けた。
そして、知詠が、震えた声で言う。
知詠「どうして、、。こんなの、、わたしが持ってる記憶にないのに、、」
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作者名：スヒョン
| 作成日時：2024年3月2日 22時
