朧の都に棲む妖-4- (ページ19)

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『その思惑って、一体なんなの？』

知詠「安倍家は、Aとかぐや様の力を使を手に入れようとしてる。」

『何のために？』

知詠「妖に出来て、人間にはできない事。妖憑きに出来て、陰陽師に出来ない事。」

『何それ、、。陰陽師だって、霊力はあるし、、。』

知詠「でも、どんなに力を持っていても、逆らえない物がある。妖や妖憑きならばこの理を無視できる。」

頭にぱっと浮かんでしまった。

妖や、妖憑きは、歳をとらない。

『まさか、、』

知詠「そう、あいつらは、永遠の命を手に入れようとしている。」

『そんなことが、本当に可能なの？』

知詠「可能。でも、ただの人間が、命を制限なく伸ばすのは神の作った規則に反することになる。つまり、やってはいけないことなの。
妖や妖憑きが歳をとらないのは、とらないんじゃなくてとれないからなんだ。呪いのようなものだよ。」

『もし、、わたしが陰陽師に捕まるような事があったら、、』

知詠「陰陽師はこれまで散々、自然の理に反してきたからね、、。それこそ、現世は滅ぼされることになると思う。」

『、、さっき、歳をとれないのは、呪いみたいなものって言ったけど、どうして？
そもそも、陰陽師が妖憑きになってしまう可能性は無いの？』

知詠「人間に妖が憑くことを決めるのは、あくまでも妖側。好かれて妖に憑かれる者もいれば、苦しめようと憑く者もいる。まぁ、陰陽師なんて妖からしたら関わりたく無いだろうけどね。
ただ、どちらにしても、妖憑きになるには一つ、条件ある。」

『条件って、？』

私の問いに、知詠は大介さんを見ながら、悲しそうに言う。

知詠「、、、「死にたい」と、心から願う事。」

『、、え、』

知詠「消えたい、死にたい。そう心から願った時に、その精神の隙間に妖が入り込む。それまで、妖は気に入った人間の近くをずっと付いて回る。守護霊みたいにね。
Aにも、心当たりあるでしょ？」

陰陽堂を出る時、父上と母上が死んだと聞いた時、足元から地面が崩れ落ちるような感覚に襲われた。
廉に一人で逃げろと言われて、それならいっそ、今ここで死んでしまいたいと思った。

寂しさに蝕まれながら、一人で生きて行くなんて到底無理だと思ったから。

雪乃屋のみんなも、、。

「死にたい」って、心から願ってしまうなんて、あんな想いは、二度としなくない。

させたくない。

『知詠』

知詠「ん？」

『わたし、戻らなきゃ、』

知詠「、、うん」