朧の都に棲む妖-4- (ページ18)

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知詠「安倍家は当時、陰陽師の力を強く引き継いだ者とそうで無い物で派閥が分かれいたの。次第にそれは安倍晴明を慕うものとそうで無いものに分かれていった。
安倍晴明に付き従う派閥は、国のため、人に危害を加える妖を殺すのではなく、封印という形で対処していたけど、それをよく思わない者もたくさんいたわ。

晴明は未来を予見した。このままでは、陰陽師が悪戯に力を払い、妖を無闇に傷付け、妖達はその怨念で災厄をもたらすことになるだろうって。

だから、安倍晴明は朱雛院家に頼み込んだ。」

『朱雛院に？、』

知詠「そう。当時の朱雛院家の当主と安倍晴明が作ったのが朧の都。陰陽院からの入口を作ったのは安倍晴明。

いつかこうなると、分かっていたのね。

それから術式もまともに使えない陰陽師が我が物顔で安倍家を名乗るようになった。」

『なんでそんな事、。権力に目が眩んだとか？地位が欲しかった、とか？』

知詠「そうなら、まだ話は簡単だった。」

『え、、？』

知詠「晴明が亡くなった後、朧の話は、朧で暮らす妖と朱雛院家だけに脈々と受け継がれて言った。これは、晴明からの遺言だったから。」

『、、じゃあ、ほんとに、こういう事が起こって、しまうと、分かっていたんだ、、』

周りを警戒しながら、人々を歪みの中へ誘導する岩本さん達を見ながら思った。

誰かが、傷付いたり、命を落としたり、我が身を犠牲にする前に、もっと何かできたんじゃ無いのか。

わたしは、本当に何も知らずに、、ここまで来たんだ。

知詠「安倍家の歴史や陰陽師の歴史は、陰陽堂の禁書庫にしまってあるの。それを、当時異端児だと言われて閉じ込められていたAに、お父様が禁書庫から無断で持ち出して読ませていた。」

『禁書庫、？』

知詠「安倍家が、何としても隠し通さなければいけない秘密を、お父様は幼いAに伝えようとしてた。
いつか、大きくなって、朧でにぃに達と出会えた時、そして、陰陽師と戦わなければいけなくなった時、少しでもAを守れるように。」

『、、え』

頭がいっぱいで、どこから整理すればいいのかわからない。身の前の緊迫した光景にさらに不安と焦りのようなものを掻き立てたれる気がした。

知詠「いい？A。よく聞いて。朱雛院家が滅ぼされた今、都を統治してるのは安倍家。大王(おおきみ)も逆らえない。」

『大王も、？何故？』

知詠「そこまでは、分からない。わたしは人の記憶を見せることしかできないから。でも、Aが安倍家の思惑の鍵になるの。だから狙われる」

『その思惑って、一体なんなの？』