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腕の中で泣いている知詠の震える背中を優しく摩る。
落ち着くまでしばらく時間がかかるかななんて思っていたのに、知詠はわたしの顔を見上げると、胸をぐっと押して離れた。



『、、知詠?』


知詠「A、、さっき言ったでしょ。わたしがAに会えた事はあまりいい事じゃないって。」


『うん、』


知詠「わたしが今までAに干渉できなかったのは、かぐや様の力が呪いによって封じ込められていたからなの。」


『呪いって、背中の?』


知詠「そうよ。呪いと言っても、悪影響を及ぼすものじゃない。ただ、かぐや様とAの力を抑えるためのもの。」


『かぐやの力だけじゃないの?わたしの力って、、』


知詠「ごめんなさい。わたしもそこまではわからないの。」


『そう、、』



知詠は泣いて赤くなった目を伏せて、申し訳なさそうに言った。



知詠「でも、その呪いはね、Aを守るためにあるの。二人の力は霊力は強すぎるから、朧の結界では抑えられないかも知れない。だから、Aのお母様がAを守るために付けたんだよ。
もし、かぐや様がAに憑いた時にその呪いが発動するように。
本来なら、妖の霊力を相殺するほどの力を持つ呪いだから。」


『お母様が、わたしを守るために、、』


知詠「お母様もお父様も、Aが産まれた時から、Aがにぃに達に出会う事も、朧に行くことも分かってた。
そう言う運命を辿るって、分かってたの。」


『待って、どういうこと?お父様もお母様もこうなることが分かってたって事?』


知詠「朱雛院家のことは知ってるでしょ?代々巫女の血を継ぐってことは。」


『お父様の手紙にも書いてあったし、阿部さんから話は聞いたけど、、本当なの?』


知詠「本当よ。巫女は神子(みこ)とも言われるほど、神の力を宿すと言われていた。でも、陰陽師の間ではずっと迷信だと思われていた。その力を受け継ぐのが、女児だけということは朱雛院の一族だけの秘密だったから。」


『どうして秘密にする必要があったの?』


知詠「陰陽師、特に安倍家の陰謀に、気付いていたからよ。」


『安倍家の陰謀って、』


知詠「それは、」



知詠が意を決したように、言葉を口にしようとした時、街の奥で大きな爆発音が響き、地鳴りが足を震わせた。
熱風が簡易な作りの長屋をガタガタと揺らし、外壁に物がぶつかる音が聞こえる。



『なに?!』


知詠「A、行こう。」



知詠はまた、わたしの手を強く掴んで引っ張る。



知詠「Aが産まれた訳が、分かる。」

「神子」→←.



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作者名:スヒョン | 作成日時:2024年3月2日 22時

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