朧の都に棲む妖-4- (ページ11)

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知詠「生きていた時も何度か見ていたけれど、それが予知夢だなんて気付かなかった。」

『どんな夢、？』

知詠「にぃに達が、妖と仲良く暮らしている夢。そこには、貴方もいた。」

『わたし？、』

知詠「この謀反に仕立てられた事を経て、朧で平和に暮らす夢。」

『じゃあ、ここってやっぱり陰陽院なのね、。でも、なんで朧のこと、知っているの？』

知詠「知詠はね、この日に死んでから、何度も何度も、ここからやり直してるの。」

『やり直してる？』

知詠「魂だけの存在になって、失敗するとまたここから始まるの。」

知詠は燃え盛る町々を遠い目で見つめていた。

知詠「死んでしばらくしたら、また同じところからの繰り返しだった。でも、知詠はもう一人いて、人には触れられなくなっていたし、他の人から見えなくなっていた。

この日、たくさんのことが起こった。
少し違えば、全てが壊れてしまう。
だから私はこの日を何度も繰り返してる。」

『それって、』

自分が死んだ日を、何度も見てるってこと？
そんなの残酷すぎる、。

知詠「最初はね、自分を助けようとしたんだけど、それはできなかった。わたしが死ぬことは、にぃに達が生き延びることに必要なことみたい。」

『え、？』

知詠「Aは、にぃに達が白龍討伐に行った後のこと知ってるの？」

『いいえ、全部はしならいの。柳さん達の事は、記憶で見たけど、、』

知詠「そう、、。じゃあわたしからは、言わない方が良いのかもしないね。」

『、、どうして？』

知詠「それぞれの過去が関わっているから。わたしが変に関与すると、また未来が変わってしまうかもしれないし。」

『それは、、わたしと、大介さん達が、朧で平和に過ごせる日が来るって事だよね？』

知詠「そうだけど、、。わたしがAに会えた事は、実はあまり良い事じゃないの。
でも、あれで、にぃに達は、西の鳥居で貴方の母親の命を救うことになる。
これでAがいない未来はなくなった。」

『母上が？、、わたし、産まれてきてもいいのかな、？』

わたしがもし、産まれなければ、父上も母上も、家のみんなも殺される事はなかったかもしれない。

知詠「言ったでしょ、Aがいなければ、全てが終わる。」

『全て、？』

知詠「朧も、陰陽道も。現世と隠世の均衡が崩れて、現世が何十年も災厄に見舞われるかもしれない。そうなれば、誰一人として、生き残らない。

それを元に戻せるのは、Aとにぃに達しかいない。だから、わたしはそこに導くの。

これが、かぐや様から与えられた、わたしの役目だから。」