「獏」 ページ1
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目を瞑ったまま寝返りを打つと、壁のように硬い感触が体に当たる。
マタタビや玉藻のようにふわふわとしてないし、とうとう部屋の壁に到達するほど寝相が悪くなったのかと、重たい目を開ける。
『え、』
見たことのある柄が目に飛び込んできた。
見上げるように少し顎を上げてみると目は白い肌に整った顔と長いまつ毛備えた、その人がいる。
『真都、さん、？』
すやすやと寝息を立てながら子供みたいに寝ている。
呼吸をするたびに胸の辺りがぐっと膨らんで、戻って、また膨らんでを繰り返す。
『、なんで？』
状況が理解できず、静かに真都さんから離れようと体を後ろに滑らせると、今度は背中に壁を感じる。
ゆっくり首だけ後ろを振り返るように向けると、一番想像できなかった人が真都さんと同じようにこちらに体を向けて寝ている。
『ひぇ、目黒さん、？』
というか、これ、どういうこと？
もしかしてわたしは、寝ぼけてどこかの部屋に紛れ込んでしまったのかと思ったけれど、視界の恥に微かに見える行灯の枠の細工は、わたしの部屋に置いてあったものと同じ。
やっぱりここはわたしの部屋だ。
締め切った襖の向こう側から、バタバタと言う足音が聞こえてくる。
ただ、目が覚めただけなのに、なぜか悪いことをしているみたい慌てて寝具から出ようとするけれど、するりと腕が伸びてきてそれを阻止される。
『えっ、』
渡辺「おい、いつまで寝てんだよ、」
宮舘「具合でも悪いのか？」
二つの影が襖に映った。
『いや、えっ、、』
渡辺「なんだ、起きてるじゃねぇか」
宮舘「入るぞ」
『え？！ちょっ、』
わたしの制する声も聞こえていない二人は、揃えたように襖を勢いよく開け、揃えたように呆気に取られた。
渡辺「は？」
宮舘「えっと、これは？」
『これは、、』
二人はまだ呑気に寝ていて、捕まった手首のせいで中途半端に起き上がった体制のままわたしも固まってしまう。
『どういうことなんでしょうか、』
宮舘「なんで、二人がAの部屋にいるの」
『、、分かりません、』
渡辺「なんで一緒に寝てんの」
『、、分かりません、、』
宮舘「なんでこうなったの、」
『わからないんです！』
必死にそう言うと、翔太さんはずんずんと近づいて来て、二人を足蹴にして救い出してくれた。
目黒「いったぁ、」
村上「なにぃ、もう、、」
宮舘「そこに正座しなさい」
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作者名：スヒョン
| 作成日時：2024年3月2日 22時
