IDOL_3 (ページ10)

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『目黒side』

ラウール「僕は、椎名さんの味方だよ。」

こんなラウールを初めて見た。
いつも大人や先輩囲まれて、末っ子全開のラウールが、AKIRAに向かっては違う顔を見せた。

AKIRAは、終始戸惑っている様だった。返し方がわからないみたいで、正しい答えを導こうとしているみたいで、ラウールから目を逸らすと、ラウールだけが一方的に握っている手を見つめていた。

目黒「ラウール、そろそろ帰るよ」

助け舟を出したつもりだったけど、ラウールは悔しそうに俺の方を振り返った。

ラウール「、、、分かった。」

ラウールがAKIRAから手を離すと、やっとラウールの顔を見て、申し訳なさそうに眉を下げた。、

目黒「先言ってて、俺トイレ行く。」

ラウール「うん。、」

ラウールが部屋を出るのを見送ると、その場に立ち尽くしたAKIRAに声をかけた。

目黒「一人じゃ、無理だと思うよ。」

『えっ？、』

驚いた顔で、大きな目が俺を捉えて、思わずどきっとしてしまう。

目黒「いや、、俺達は、、SnowManも、他のグループも、Jr.のみんなも、一人じゃどうにもできないから、事務所やスタッフさんや、先輩や、友達や家族の力を借りて、デビューって夢を、アイドルっていう夢を、掴んでくんだって俺は思ってて、」

一人で語ってしまう癖が、途中で急に恥ずかしくなって、両手をポケットに突っ込みながら横目でAKIRAを見ると、じっと聞いてくれていた。

目黒「あ、別にAKIRAが弱いって言ってるんじゃないから、、。だから、、人に頼ったり、弱音を言う事は、勇気がいるかもしれないけど、カッコ悪い事じゃないよ。」

また、少し目を泳がせた。

目黒「少なくともあいつは、、ラウールは、同い年の友達に、頼ってほしいんじゃないかな」

そう言うと、はっとしたように俺を見た。

『、、友達？』

目黒「うん。あいつは、そう思ってるって。」

少し、何かを考えるように目線を落とすと、部屋から飛び出して「ラウールくんっ！」と廊下をとぼとぼ歩くラウールを引き止めた。驚いて振り返ったラウールに

『次は、引っ込めないから、、手。』

右手の手のひらをラウールの方に向けて、ぐっと肘を伸ばしてそう言った。
ラウールは嬉しそうに「うんっ！」と頷いて答える。

ラウール「あれ？めめトイレは？」

目黒「大丈夫」

ラウール「漏らしちゃうよ？」

目黒「漏らさねぇよ、前科あるみたいな言うな」

『ははっww』

AKIRAの、いや、椎名Aの心からの笑顔を見た気がして、ラウールと顔を合わせて一緒に笑った。