IDOL_3 (ページ47)

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『You side』

支度が全て終わった。
10時から撮影が始まる。
楽屋のドアがノックされて「椎名さんスタンバイお願いします」と声をかけられる。

撮影の準備が整って撮影が始まるまで、すぐに撮影に入れるようにスタジオで待機するのだ。

あっちゃんが緊張してガチガチのわたしにアドバイスをくれた。硬派で生真面目几帳面の性格の役だから、スタジオに入った瞬間から役に入る練習をした方がいいと。
「かなり集中力いるし、共演者の方に話しかけたら話しかけられたりはなくなってしまうけど、役者としての覚悟をスタッフさん含めてスタジオにいる全員に示すことは出来るから。」らしい。

セリフも何度も何度も覚えた。原作も何度も読んだ。出来ることは全てやった。あとは切り替えるだけ。

スタジオの前まで来て大きく深呼吸をする。

ｽﾀｯﾌ「椎名Aさん入られます！」

スタッフさんと共演者の方々が一斉にこちらを向いて、なんだかざわつく声が聞こえる。

集中集中、気にしないで。

『よろしくお願い致します。』

丁寧にゆっくりとお辞儀をする。きっと、白川華ならこうする。

大きな屋内のスタジオには教室がそのままセットで組まれていた。本物の学校で撮るシーンもあるけど、今も使われている学校だから休日以外の教室内だけのシーンはスタジオで撮るらしかった。

「こちらへどうぞ」とスタッフさんに案内されて、出演者が集まっている長テーブルに案内される。すでに多くのキャストさんが集まっている。

『おはようございます。白川華役の椎名Aです。よろしくお願いします。』

挨拶をすると、共演者の方も「よろしくお願いします」と笑顔で返してくれる。
雰囲気がとてもいい気がする。けど、みんな顔を合わせたことがあるのか、楽しそうに話すその輪の中には入られない。
それでいい。集中しなければ。

全体のシーンでは表情撮りがメインだ。
驚いたのは、同じシーンを何度も何度も違う角度から撮ること。同じ動き、表情をしなければ編集した時シーンが繋がらない。

終日撮影が何日も続く。
これはかなり集中力がいる。

最初の3話までは主人公の3人がフューチャーされて、他のキャストとの絡みはほとんどない。

撮影が始まって3週間が経った。ここから物語とクラスメイトとの絡みがどんどん多くなっていく。

台本を読み進めて分かったこと。
原作通り、わたしが演じる白川華は鈴鹿央士くん演じる朝日春に想いを寄せる描写が描かれている。

『片想い、、ってなんだ、、』