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『阿部side』
立ち上がったラウールを目黒と涼太と照が止めて、ふっかもなにか言いた気だった。
照が首を横に張る。「会いに行くな」と言うことだ。
ラウールはドアの方を見てから目を伏せると、その場に静かに座った。
ラウール「言ってた。椎名さん。」
目黒「ん?」
ラウール「大人っぽく振る舞っとけば、大体のことは乗り切れるんだって。そういうのは自己防衛なんだって。」
ぼつぽつと話すラウールの言葉にみんなが耳を傾けていた。
自己防衛。大人になるにつれて身につくその技は、俺たちにだって経験がある。立ち向かったり、刃向かったり、自分の精神が削られると分かっていることから、自分自身を守るために取り繕う。
ラウール「今日の、なんかそれみたいだった。オーディションで見た椎名さんが、本当の姿なんだと思う。でも、ここで、この生配信で動揺したら、ファンは不安がるし、、。だから、ああやって淡々と話してる。少しも、隙を与えない、、なんていうか、壁、みたいな。」
スマホに目を向けると、最後に止めたままの動画。
画面そのものが見えない壁みたいに見えてしまった。
ラウール「僕、SnowManのみんなが居なかったら、とっくに潰れてたよ、、。」
佐久間「ラウール、、」
ラウール「椎名さんは1人なんだよ、?僕は、、」
口をぐっと噤んで、少し荒く息を吸うラウール。
ラウール「僕は、周りが敵ばっかりに思える感覚、よく分かる。そう言う時って、誰にも頼らなくなるんだよ。自分のせいでこうなってしまってるとか、考えちゃって、周りの声が悪い方悪い方に捻じ曲げられて聞こえてくる。
世間はこんなに広いのに、SNSの声って、凄く近くにある様に思えるんだよ。電車で隣りに座ってる人が、僕のことそう思ってるかもとか、真剣に話してくれるスタッフさんが、裏では僕のこと笑ってるんじゃないかとか。
一人だったら、、耐えられなかった、。」
舞台の袖で、泣き出してしまうラウールを、メンバーが何度も励ました。あの時のことをメンバー全員が思い出していた。
あんな思いを、身近な人にはして欲しくないと思っていたのに。
ラウール「だから、」
深澤「ラウール、分かってるよ。ラウの気持ちは分かるし、俺たちも少しでも協力したいけど、」
岩本「うん。本人が、あぁ言ってるから、、。俺たちが関わることは、AKIRAに迷惑かけることになりかねないんだよ。」
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作者名:スヒョン | 作成日時:2024年1月16日 23時