IDOL_3 (ページ25)

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『岩本side』

佐久間「んぁー、疲れたー」

ラウール「お腹すいたぁ！」

稽古終わり、そのままジムに行こうと思ってスマホで時間を確認しようとして、流れてくるニュースに目を疑った。

「ジャニーズ事務所の新規プロジェクト唯一の合格者AKIRA(椎名A)の自宅を何者かが特定拡散。」

岩本「ねぇ、ちょっとこれ、、」

隣にいたふっかに見せると、「えっ！」と声を上げる。メンバーもその記事を読んで「信じられない」と愕然としていた。

ラウール「ひどい、こんなの、、」

目黒「誰がこんな事、、」

阿部「俺、山崎さんに聞いてみる」

阿部が電話をかけだした。普段はさっさと帰るメンバーも今日は残っていた。

なんだかんだ、俺たちはAKIRAをかなり気にかけていたからだ。

ラウールが加入したばかりの頃。未熟なラウールの心に世間の声は容赦なかった。周りの環境もどんどん変わっていった。
「大丈夫だ。守ってやるから。」と背中を押して来たけど、いつか、ラウールが、潰れてしまうんじゃないかと怖くなった事が何回もある。

踊る事や歌う事や芝居をして、ステージに立って、人の目に触れる事が嫌になってしまうんじゃないか。
SnowManでいる事が、アイドルでいる事が、怖い事だと思ってしまうんじゃないか。それが怖かった。

ジャニーズに女の子が入るってことは、かなりリスキーな事だとは分かっていながらも、こうやって実際に事が起こってからではないと誰も気付かない。
本人がどれだけ追い込まれているのかを。

紅一点、アイドルの中で一人だけ女の子がいる。アニメや漫画では軽快に描かれているけど、現実はそうはいかない。もっと残酷で恐ろしくて、耳を塞ぎたくなる、目を背けたくなる様なことばかりだ。

阿部「事務所にいるって。ホテルも危ないから。椎名さんがここに泊まるって言ったって、。」

向井「まぁ、、今はどこよりも安心やろけど、、」

渡辺「、、一人で、どんだけ背負ってんだろ、、」

限界までいってしまったら、どうなるんだろう。泣いても、嘆いても、落ち込んでも、俺らみたいにメンバーが隣にいるわけじゃない。完全に信頼できる大人がそばにいるわけじゃない。

じゃあ、AKIRAは、どうやって一人で立ってるんだ？

支えるものがなければ、そのまま倒れて、潰れてしまう。

人事とは思えなくて、手に持っていたスマホを荷物の上に投げた。

岩本「ちょっと様子見てくる」