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『You side』
夜逃げみたいだ。
と思った。
事務所について滝沢さんが散々心配してくれるし、何か話をしているけど、全然頭に入ってこなかった。
山崎「ホテルでも取りますか？」
滝沢「そうだな、、」
『事務所に泊まります。一番安心できるので、』
わたしがそういうと、二人とも「そっか。」と納得した。
わたしはまたいつものレッスン室に入った。
滝沢さんは「対策を立てるから」と言ってあっちゃんと部屋を出て行く。
眠いけど、寝たくない。
お腹は空いてるけど食べたくない。
どうせ明日も学校は行けないんだろうな。
マイナスな考えをぐるぐると考えている。
スマホを手に取って、徐に音楽を流し始める。
いつもならついつい動いてしまう体は、全身に重りがついた様に動かなかった。
あんなに、あんなに、
何よりも好きだったダンス、
憧れていたステージ、
誰かに見て欲しいと貪欲に思っていた、
ほんの、数ヶ月までは。
ちがう。今だって思ってる。
思っているけど、
今は人の目に触れるのが怖い。
このままじゃダメだと、
無理やり体を動かす。
オーディションで踊った曲、
あの時の緊張と高揚感と
人の前で踊れる嬉しさを思い出したかった。
でも、
『っ、、』
鏡に写っている人は、
全然楽しそうじゃない。
わたしだったら、こんな顔した人の
無理やりやらされているみたいなパフォーマンス
見たくない。
ちがう、こんなんじゃない、
もっと素早く、力強く、低く、高く、大きく、
もっともっと、そう思って無理やり動かす。
どんどんヤケになっているのが
自分でも分かっていたけど、止まれなかった。
だんだんと息が切れてきて、
肺がぐっと痛み出す。
もう、何回繰り返して踊ってるんだろう
踏んだ足がよろけて、
その場に尻餅をついても、
それでも踊り続けようとして
また鏡を見て後悔する。
ボロボロだ。わたし。
犯罪者みたいに、隠れて逃げて。
、、なんのために、。
自分を、もっと強い人間だと思ってた。
過信していた自分が情けなくて、
想像以上に弱い自分が不甲斐なくて、
自分の事が嫌いになりそうだ。
自分を自分で好きになれないのに、
わたしみないな人間を
誰も、好きになんてならない。
力の入らない身体を、
丸めるように床に横になった。
こんなはずじゃ、なかったのに。
全てが悪い方向に向かっている気がして、睡魔に意識を委ねようとしたその時だった。
岩本「おい、大丈夫か？！」
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作者名：スヒョン
| 作成日時：2024年1月16日 23時
