IDOL_3 (ページ23)

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『You side』

ドンドンとまたドアを叩く音と同時に、あっちゃんの声が聞こえてきた。

山崎「山崎です！ドア開けられる？」

その声を聞いて、ドアに駆け寄って覗き穴から見ると、息を切らしたあっちゃんがドアの前に立っていた。

鍵を開けてそっとドアを開くと慌てたように部屋に入ってくる。

山崎「平気？！大丈夫？！」

『うん、、大丈夫、。外に人は、？』

山崎「誰も居なかったけど、？」

『、、そんなはず、、』

山崎「もしかしたら、同じマンションの人が部屋間違ってって可能性もあるけど、、」

『、、そう、だよね、、』

山崎「そうじゃなかった時が怖いよね、」

『、、ごめんなさい、』

あっちゃんが部屋の中までわたしの背中に手を添えてベッドに座らせてくれた。

山崎「どうして謝るの、」

『一人で勝手に帰ったから、、こんなことになっちゃって、、』

山崎「、、まぁ、まさか今日に限ってこんなことが起こるなんて思わないからね。わたしもちゃんと配慮すべきだったの。ごめんね。」

『あっちゃんのせいじゃ、、』

膝の上に置いた自分の手が、震えているのに気付いて驚いた。

山崎「、、大丈夫？」

もし、家が特定されたら、、どうなるんだろう、、。

その時、あっちゃんのスマホの着信音が鳴って二人して肩をびくつかせた。

あっちゃんが「ちょっと待っててね」と言うと、わたしに背を向ける様に窓の方を向いて電話をとった。

山崎「お疲れ様です、はい、。今一緒にいます。自宅です。」

わたしの事だ。何かあったのかな。YouTubeのことかな。
そんな事を考えていると、あっちゃんはわたしの方を見て「えっ」と声を上げた。

山崎「それ、、本当ですか？、そんな、、」

あっちゃんはかなり焦った様子で、スマホを耳と肩に挟んだまま自分のタブレットで何かを検索し始めた。

山崎「、、なんでこんなこと、」

『あっちゃん、？』

覗き込んだタブレットの画面には、Twitterの画面が開かれていて、そこにはある投稿があった。

『、うそ、、』

山崎「今すぐに事務所に向かいます。」

電話を切ったあっちゃんは静かにわたしに向き合うと言った。

山崎「家が特定されて、Twitterで拡散されてる。必要なものだけ持って今すぐにここを出ないと、」

『、、じゃあさっきの、、』

山崎「その人かもしれないけど、とにかく、今は急いで支度して、」

あっちゃんはわたしのスクールバックと空のキャリーバックを持って、あれこれと指示をした。
わたしは言われたものをとりあえず詰め込んで、ほんの数分後にはあっちゃんの車に乗り込み事務所に向かっていた。