IDOL_3 (ページ22)

今日:43 hit、昨日:156 hit、合計:108,291 hit

. ページ22

ー
『You side』

走って家まで帰り着くと、あっちゃんに「帰宅しました」と連絡を入れた。

『さっさと課題終わらせよ、』

スクールバッグから教材やペンケースやらを取り出した。
すると、

ピンポーン

チャイムが鳴った。わたしの家を知っているのは、両親と滝沢さんとあっちゃんくらいだ。
滝沢さんは絶対事前に連絡を入れてくれるし、そもそも家に来ることなんて滅多にない。

あっちゃんは合鍵持ってるから、わざわざチャイム押さないし、事前に連絡をくれるはず。

しかももう9時過ぎ。

こんな時間に、一体、。

『誰なの、』

ピンポーン

チャイムの音に、体がビクッと反応した。
モニターの前に立って、画面を覗いてみるけど、そこには誰も立っていない。

『え、、』

きっと、誰かが間違えて押してしまったのかもしれない。でも、なんだか急に怖くなってきて、あっちゃんに報告しておこうとスマホを手に取った、その瞬間だった。

ピンポーン

ドンドン

今度は、玄関のドアについているチャイムの音とドアを叩く音が聞こえて、手に持とうとしていたスマホを落としそうになる。

『えっ、、なんで、、誰、？』

出来るだけ声を抑えて、気配を消すように息を潜めた。

LINEであっちゃんに、

「今家の前にいたりしないよね？」

「部屋の玄関のドアを叩く音が聞こえるの」

「ちょっと、怖くなっちゃって」

そこまで打つとやっと既読が着く。

直後にかかってくる電話。

『もしもしっ、』

山崎「誰がいるの？」

『わかんない、怖くて見てない、』

山崎「すぐそっちに向かうから、待ってて」

『、、うん、』

あっちゃんが来てくれるって言ってホッとしたけど、
ドンドンと叩く音がだんだんと強くなる。

その音と同時にコツコツという、多分、ヒールの音が聞こえてきた。

『女の人、？』

もしかしたら、ジャニーズのファンの人か、分からないけど、。家まで来るなんて怖すぎる、、。

少しずつ、息が荒くなって、心臓がどくどくと早く大きくなるのがわかるとさらに恐怖が増してくる。

ドアを叩く音と、インターフォンの音がさらに大きく感覚が短くなって、ドアの向こうにいるのは変わらないのに、近づいている気さえした。

『どうしよう、、警察、、は、流石に、、』

もし違ったり、大事になるのは嫌だ。
また事務所や先輩達に迷惑をかけてしまう。
そんな気持ちから、警察には連絡しなかった。

「今下着いた！」

あっちゃんからのメールが届いた途端。

ドアを叩く音と、インターフォンの音がぴたりと止んだ。