IDOL_3 (ページ21)

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「足音」ページ21

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『You side』

YouTubeを開設して一本目の動画を上げる事になったその日。

審査員と自分以外の顔にモザイク処理をして編集のチェックをした。オーディションのダンス動画、課題曲と自由曲を上げる事になって、あっちゃんと、YouTubeのスタッフさんとが集まった。

何回もYouTubeにアップするのが日常だったし、日課だったし、楽しみだったし、生き甲斐だったけど、今回は「怖い」が先に出てしまう。

けど、これで何か変わるかもしれない。

スタッフ「上がりました！」

パソコンの画面が更新されると同時に、再生回数が伸びていく。評価とコメントの数もどんどん増えていった。

山崎「まぁ、予想通りね。」

あっちゃんが腕を組みながらため息混じりにそう言った。

コメント欄をざっと読むと、日本語では批判的な声が多く、海外からは「AKIRAのカムバック」を喜んでくれる声が多かった。

スタッフ「Twitterのトレンド入りしてます！」

山崎「うん！話題性は充分！この勢いのまま、どんどん投稿していこう！」

『うん、』

山崎「じゃあ、このまま企画会議始めちゃおうか。ほんとは歌とお芝居の審査も載せたかったんだけどね、流石にダメって言われたわ。
だから、次は歌の企画にしましょう。」

『カバー曲とかでいいのかな？』

山崎「最初はそうね。」

スタッフ「ジャニーズのカバー曲ですか？」

山崎「わたしもそう考えたんだけど、最初は普通に、椎名ちゃんが好きな曲でいいかなって。」

『わたしの好きな曲？』

山崎「そう。まずは、AKIRAのファンを安心させてあげる方が大事。どこにいっても変わってないって事を教えてあげなくちゃね。」

『、、そうだね』

山崎「いくつか歌いたい歌、ピックアップしといて」

『うん。』

窓の外が暗くなって、帰る時間になった。

山崎「タクシー全然捕まらないわね」

『大丈夫だよ、歩いて帰れる距離だし』

山崎「ダメよ。今日はボディーガードついてないでしょ。」

『危険な目に遭った事ないのに、ボディーガードついてるのがおかしいんだよ』

山崎「馬鹿言わないで。危険な目にあってからじゃ遅いのよ。」

その通りだ。でも、

『走って帰るから！心配してないで！なんかあったらすぐ連絡する！』

「ちょっと！」というあっちゃんを残して走り出した。

今日は普段より気分が良かった。スタッフさんにも、あっちゃんにも笑顔で話せていたと思う。

だから、普段より、油断していたのかもしれない。