IDOL_3 (ページ18)

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『佐久間side』

佐久間「飲み物買いに来たの？」

『はい、コーヒーでも買おうかと、』

15歳なのに随分大人っぽい物を飲むんだなと感心しながら、自分の手の中にあるコーヒーのペットボトルに目をやった。

佐久間「あ、ねぇ、俺フルーツジュースと間違えてコーヒー買っちゃったんだけど、良かったら飲む？」

『え、いいんですか？』

佐久間「うん。はい、あげる」

AKIRAはコーヒーを両手で受け取ると、そのままぺこりとお辞儀をして「ありがとうございます」と言ったかと思ったら、おもむろに財布を取り出した。

『えっと、160円、、』

自販機にお金を入れてフルーツジュースを買うと、俺に渡してきた。

『どうぞ』

佐久間「え、あ、あぁ、ありがとう、、」

『では、、お、お疲れ様でした、』

またお辞儀をして休憩室を出て行こうとするAKIRAを呼び止めた。
AKIRAは不思議そうな顔をして、俺を見ている。

佐久間「あのさ、さっきの、話聞いちゃった？」

『さっきの？』

佐久間「あ、いや、聞いてないならいいんだ、」

なんだ、良かった。とホッとしたけど、

『あぁ、あれですか？唾つけとくぐらいは、とかってやつ。』

佐久間「、、やっぱり聞いてたんだ、」

『聞こえちゃったんです、盗み聞きとかじゃ、、』

佐久間「分かってるよww あんなの盗み聞いても何のメリットもないよ」

『、、、そうですね、』

ダンスをしている時は、表現も表情もあんなに豊かなのに、普段はあまり変わらない。
怒ったり泣いたり思いっきり笑ったりするんだろうか。もしするなら見てみたい。

佐久間「あんまり気にしないほうがいいよ？」

『あ、、はい、』

気にしないほうがいい。と言っても、言われた本人は気にするに決まってる。
芸能界にいる以上、こう言う陰口や悪口は慣れないとどうにもならない。いちいち落ち込んでたら精神が持たない。
でも、俺が15歳の時、そんなこと考えながらやってなかった。

『あの、、佐久間さんに、お聞きしたい事があって、』

佐久間「え、なに？」

AKIRAが俺に聞きたいことが？一体なんだろう。

『どうやったら、ずっと笑顔でいられますか？』

佐久間「え、？」

『佐久間さんって、ずっと、笑ってらっしゃるイメージで、佐久間の周りもいつも笑顔で。わたしもそう言うアイドルになりたいんですけど、、、程遠いと言いますか、、。

もっと、楽観的な性格だったはずなんですが、、。最近は「今日一回でも笑ったかな」って思う時があって。』

あったな、俺にもそんな時が、。