IDOL_3 (ページ16)

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「チャンネル開設」ページ16

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『You side』

ラウール「YouTube？チャンネル作るんだ！」

『うん。滝沢さんが了解してくれて、』

ラウールくんは嬉しそうに笑った。
隣の席で、話すのは久しぶりだった。
相変わらず、周りのクラスメイトはわたしとラウールくんをじっと見ているだけで、話しかけてはこない。

それもそのはず、教室のドアの外には、屈強な黒スーツの男の人がこっちをチラッて見ては背を向けて、周りを警戒していた。

ラウール「ボディガード？SP？、なんかすごいね、」

『すごい、、のかな？トイレにまで着いて来るんだもん、なんかちょっとね、』

ラウール「トイレかw 」

『正直、気まずい、』

そう言うと、ラウールくんはまた笑った。

ラウール「ねぇ、お昼ご飯さ、一緒に食べない？」

『え、一緒に？、、でも、』

お昼まで一緒に食べるとなると、、。
嬉しいけどあまり気が進まなかった。

ラウール「誰にも見つからないいい場所があるんだけど、」

『え？』

ラウール「こっち。あ、ボディガードさんも一緒に」

『あ、、うん、』

言われるがままに、スクールバッグを持つと、ラウールくんの後を着いて行った。

旧校舎と新校舎の間にある屋上へ続く階段のちょっとした踊り場があって、ラウールくんは躊躇いもなくそこは座った。

ラウール「ここ、」

『、うん。』

ラウールくんは自分の隣を指差して、お弁当を広げて食べ出した。
わたしはラウールくんの隣を、人一人分開けて隣に座る。わたしもスクールバッグからお弁当と水筒を取り出す。

朝早くに、あっちゃんが家に押しかけてきて、一週間分のお弁当の具材をさっと作って今日の分はお弁当に詰めて持たせてくれたのだ。

ラウール「で、さっきの話しなんだけど、」

『さっき？』

ラウール「ほら、YouTube」

『うん。』

ラウール「最初の動画は何アップするの？」

『最初はダンス動画にしようと思ってて、ほら、オーディションで踊った曲』

ラウール「believerか」

『うん。前にアップしてもらった時は、顔隠れてたから、もう一回踊ろうかなって。』

ラウール「あれでしょ？顔隠してるのは同一人物じゃないからとか、AKIRAと椎名Aは別の人間じゃないかとか、変な噂立ってるからね」

『うん。それもあるし、』

ラウール「ん？」

『他のアーティストさんの曲を、わたしのせいで悪いイメージにしたくなくて』

そういうと、ラウールくんは「そっか」と嬉しそうに笑った。

ラウール「ね、お弁当のおかず交換っこしない？」

なんだか、友達っぽいワードだ。