IDOL_3 (ページ11)

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「マネージャー」ページ11

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『You side』

滝沢さんに「マネージャーを付けるから」と言われて、レッスン室で待っていると、ノックの音が聞こえて、阿部さんが顔を覗かせた。

阿部「おはよう、椎名さん」

『お、おはようございますっ、』

「おはようございます」と「お疲れ様でした」という挨拶は、わたしにはまだ慣れない。なんでお昼過ぎても「おはよう」なんだろうとちょっと疑問に思いながらそう言ってみる。

阿部「お昼食べた？」

『いえ、まだです、』

阿部「じゃあ、これあげる。」

部屋には入らずに、紙袋を持った腕だけがニョキっと伸びてくる。ドアにかけよってそれを受け取った。

阿部「フルーツサンドなんだけど、甘いの大丈夫だった？」

『甘いの、大好きです。』

阿部「よかったぁ。よかったら食べて？」

『いいんですか、？』

阿部「もちろん。なかなか外出られないでしょ？そこのフルーツサンド美味しいから。ぜひ。」

『ありがとうございます、、』

お辞儀をして紙袋の中を覗くと、フルーツがゴロゴロ入ってホイップクリームが溢れそうなフルーツサンドが入っていて、その胸が躍るような見た目に、思わず笑みが溢れた。

阿部「喜んでもらえたみたいで良かったよ。」

『嬉しいです、わざわざ差し入れしてくださって、』

阿部「いいのいいの、俺がしたいだけ。」

「じゃあね」と手を振ってそのままドアを閉めた。

たまに、こうやって差し入れをしてくれる阿部さん。わたしが「今日はご飯いっか」と思う日は、なぜか阿部さんがお昼を持って来てくれる。
「ケータリングの残りだから」とか「ついでだからいいの」と。

最初は少し気が引けたけど、最近はちょっと待ってる所もあって、阿部さんの顔を見ると、少し元気が出る。

フルーツサンドを食べようと、紙袋の中から取り出すと、今度は滝沢さんが入ってくる。その後ろには、ジャニーズアイドルのような顔の整ったスーツを着ている、体格のいい男の人がいた。

滝沢「A、今回から、お前のマネージャーになる山崎くん。」

山崎「山崎です。よろしくお願いします。」

『よろしくお願いします、、』

山崎さんは、丁寧にお辞儀をするとにっこりと笑った。

滝沢「で、なんで急にマネージャーを付けることになったかというと、そろそろYouTubeの開設の準備しなきゃだからな。」

『あ、なるほど、。』

滝沢「椎名Aを知ってもらえるいい機会だから、しっかり企画練って行くぞ。」