スノ担、マネになる。7

♯347 「傷めた心」滝沢side ページ47

ー
『滝沢side』回想



俺の記憶の中で、唯一

雪襠が涙を流した時がある。


つい最近、加入の報道が出てすぐだった。


SNSでは、連日、加入に対する批判の声や

個人に対して誹謗中傷の書き込みが多く見られた。


それでも雪襠は、

メンバーを励まし、士気を高め

笑顔で「大丈夫」だと言い続けた。

渡辺に、いつも通りでいてほしいと

言われたからだと言っていた。


とんでもなく強い奴だと思った。

けれど、違っていた。



ある本番終わりの日、

俺は遅くまで打ち合わせで残っていて

出演者が通る裏廊下は混んでいるだろうから

別のルートを選んで

ロビーに向かう途中の用具室で

啜り泣く声が聞こえて入ってみると

そこにいたのが雪襠だった。




ーーーー




滝沢「どうした、」


雪襠「あ、、お疲れ様です。

　 、、すみません、なんでもないです、」


滝沢「なんでもないわけないだろ、」



雪襠が泣くのを初めて見た俺はかなり戸惑った



滝沢「どうしたんだ、」


雪襠「、、、」



雪襠は涙をゴシゴシと拭うと



雪襠「大丈夫ですっ、」



笑ってそう言った。



滝沢「、、大丈夫じゃないだろ、」



俺の言葉に、はっとした顔をして

手に持っていたスマホを渡して来た。



そこに映っていたのは、

SnowManに対する批判の声、

加入に対する反対の声、

メンバーに対するweb上でのコメント。


俺が、言ったんだ。

批判の声の中にも参考にできるものがあるから

出来るだけ目を通しておけと。



滝沢「お前、、」


雪襠「すみません、

　 ここなら、誰にも見つからないと思って、、」


滝沢「これ、毎日見てたのか？」


雪襠「はい、、」



見るだけで、心臓を掴まれたみたいに

苦しくなる声の数々に

受け取ったスマホの手が震えてしまった。



雪襠「どうして、」


滝沢「え？」


雪襠「どうして、こんな事、かけるんでしょうか？」


滝沢「、、、」


雪襠「前に、ニュースで見たことがあります。

　 韓国の、アイドルの方だったと思います。

　 誹謗中傷を苦に、

　 自ら命を絶ったというニュースです。」


滝沢「、、、」


雪襠「本人に、届かないと思ってるんでしょうか。

　 怖いですよね、、なんか、、


　 こんな、小さな機会で

　 簡単に、人を傷つけられるんです、


　 これで、人の命、奪えるんですよ、、」



雪襠の声は震えていて、

目に涙をうけて浮かべていた。



見たことがないほど脆く

怯えた雪襠は

人間らしく、繊細な女の子だった。

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