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「そうは言ってもね。あんな格好であんな場所にいたことを説明して貰わないと。」
「その前に手当したいところだけど、流石に俺たちがするわけにもいかないなぁ。」
「俺以外に誰が手当できる奴が居るんだよ。」
「それはそうだけどさぁ、」
段々と苛立ち始める辰哉という人は、座っている場所をすっと立つと、こちらに近づいてくる。
「とにかく、腕だけでもいいから」
そう言って伸びてくる手。綺麗な白い手だ。
何の悪意も感じないはずなのに、その手の影に目がいく。
指から伸びる鋭い爪の様な物がずいっと黒く浮かび、手は動いていないのに影だけが動いていた。
『っ、、！』
また後退りをしてしまうと、後ろの襖に背中をぶつけた。
その瞬間。
『っいった、、』
まずい、と思って口を両手で塞いだときにはもう遅い。
「ほら見てみろ、やっぱり口が効けないのは嘘だったじゃないか。」
「辰哉」という人の低く冷たい声がした。
伸ばしていた手をすっと引くと両腕を袂に突っ込み、また先ほど座っていた敷物の上に座った。
「可愛らしい声じゃないか。ねぇ？」
「佐久間、やめてくれよ。
性別を偽っていただけでも信用ならないのに、口が効けないと嘘までついていたんだぞ。どうせ同情を買って世話してもらうと踏んでいたんだろう。」
そう思われても仕方がない。一晩だけでも世話してもらおうと思っていたのは事実。口が効けないというのも、自分守ろうとした故についた嘘。風呂に入れ、手当をし、ご飯までご馳走するという人に対しては良くない選択だった事は明らかだった。
「・・・何か言えない事情があるじゃないのかい？口に出すのも憚られる様な事が・・・。」
佐久間と呼ばれる人はそれでも優しく微笑んでわたしに語りかけた。
「事情は聞かないでおこう。」
「佐久間、」
「俺たちだって、人のこと言えないだろ。」
「・・・。」
「何にしても、まずは手当しなくては。
さっきの痛がり方を見る限り、そのままって訳にもいかないだろう？放って置くのは心苦しいんだ。
俺に免じて手当てさせてくれないかい？」
その時、どこからともなく鈴の音が聞こえて、天を仰いだ。
『？』
この鈴の音は、わたしを連れて来てくれた女の人が付けていた鈴の音と同じ音色だった。
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Asura(プロフ) - ありがとうございます！楽しみなしてます😆 (6月9日 1時) (
レス) id: 79a3f00215 (このIDを非表示/違反報告)
スヒョン(プロフ) - Asuraさん» はじめまして！コメントありがとうございます！まだ続編移行しておりませんので、しばしお待ちください！移行しましたら移行先貼りますね😊 (6月8日 1時) (レス) id: 923ba31eb7 (このIDを非表示/違反報告)
Asura(プロフ) - 初めまして！スヒョンさんのお話大好きです❤️いつも更新楽しみにしながら読ませていただいてます😆突然なのですが、続編の移行先はどこになりますか？ (6月8日 0時) (レス) id: 79a3f00215 (このIDを非表示/違反報告)
スヒョン(プロフ) - 39ra1sh0wさん» コメントありがとうございます！usermho6x4ya37←こちらになります！作品名検索でも出てくると思います！ (6月7日 22時) (レス) id: 923ba31eb7 (このIDを非表示/違反報告)
スヒョン(プロフ) - はなさん» はなさんコメントありがとうございます！嬉しいです😊 (6月7日 22時) (レス) id: 923ba31eb7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：スヒョン
| 作成日時：2023年4月22日 2時
