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銀座の沿道には沢山の人が車道に向かって手を叩く。
一人の男が足を苦しそうな顔をしながらも懸命に走ってきた。
わずかに後ろに後を追う男がいるが、この距離では奴の優勝は間違いないだろう。
「設楽悠太！16年振りの日本記録！！」
現地のアナウンサーの声と同時に
バンッと花火のような号砲が鳴り響き、一段と歓声が大きくなった。
俺は目の前でゴールテープを切った奴をジッと見つめる。
周りは俺に気づきもしない。
ここにいる人間が見ているのは
目の前で白いユニフォームで倒れている奴しか見ていなかった。
俺がここにいても誰も俺を見つけもしない。
隣いた知らない女たちは奴の知り合いでもないだろうに
抱き合って泣いていた。
抱き合って泣いて、笑っていた。
俺が勝って、泣いてくれる人間はいるのだろうか。
勝って当たり前だと言われているこの俺に、誰が泣いてくれるのだろうか。
きっと予想しなかった奴の日本新記録で泣いているこいつらは
駅女と呼ばれるランナーヲタクで、別に奴が日本記録を樹立したことへの喜びへの涙ではない。
そしてまた、きっと、俺のことなんか勝って当たり前だと思っている。
スマートフォンの通知がうるさい。
きっと目の前の奴の記録のことだ。
俺は目の前で担架に乗せられていく白いユニフォームの奴に
数年前の自分を重ね合わせた。
お前の怪我は骨折だ。
どうか俺みたいになりませんように。なんて頭の片隅にも思い浮かばなかった自分に
少し笑みを浮かべた。
帰ってきた日本。
今年は少し騒がしくなりそうだ。
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倉藤 紅(プロフ) - 裕愛さん» コメントありがとうございます！思い出していただいて嬉しいです！これからもよろしくお願いいたします！！！ (2018年11月19日 11時) (
レス) id: 01b9790830 (このIDを非表示/違反報告)
倉藤 紅(プロフ) - 日比野さん» お久しぶりです！コメントありがとうございます！私もニュース見て、これは！と思って何年かぶりに書いてみようと思いました！ (2018年11月19日 11時) (レス) id: 01b9790830 (このIDを非表示/違反報告)
日比野(プロフ) - お久しぶりです！大迫選手のニュース見て真っ先に前作のことを思い出しました！新作嬉しいです(*´ω｀*)更新楽しみにしてますね(*'v`*) (2018年10月13日 11時) (レス) id: 6fa9304ad0 (このIDを非表示/違反報告)
裕愛(プロフ) - 初めまして！大迫選手の話聞いた瞬間この小説（前作）のこと思い出して占ツクに戻ってきたらこれが更新されてたので見返しにきました(*^^*) 前作同様更新楽しみにしてますね〜(*^^*) (2018年10月12日 12時) (レス) id: 75d0939102 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：倉藤 紅 | 作成日時：2018年10月10日 3時
