うちのサマーオイルは落ちこぼれの私に過保護すぎる【夏油傑】

13.世話 ページ13

「夏油くん居ますか」

「勿論いるよ。私が呼んだんだから」

「だよね、お邪魔します…」


慌てて靴を脱ごうとすると余計に脱げなくて、そんなに慌てなくていいよ、なんて言われてしまうし。

部屋に入れてもらってからも、夏油くんの匂いが満たされてて興奮しちゃうし。

私が挙動不審なのを察した夏油くんは、私にお茶を用意してくれるし。


「ほんとごめん…」

「良いんだよ。お願いして来て貰ったのは私のせいだし謝らないで」


沈黙が流れる。

まじで何話せば良いの？

何で私をお世話係に選んだの？とか、もう怪我は治ったんじゃなかったの？
とか聞きたいことは色々あるけれど勿論聞ける訳なくて。


「私の怪我は治ったはずなのにって思ってる？」

「…うん。あれから任務にも出てたし、もう大丈夫なのかと思ってた」

「皆には心配かけないように嘘ついてたんだ。
まだ痛むんだ、とか言ったら、悟はあれでも心配性だから私から離れてくれないだろうと思ってね」

「結局バレちゃったけどね」


再び沈黙が流れる。

何で夏油くん黙るの！こういう時に限って！


「私がAにお世話してもらおうと思ったのはね…」


顔が、見れない。

ただ隣に座ってるだけなのに、夏油くんがいる右側の身体があつい。


「ねぇA、こっちを向いて」


無理です。


「もしかして恥ずかしい？何で？」


やば…。


「まあ無理矢理にでも向いてもらうけど」


両肩を掴まれ、ぐっと彼の顔が近くに来る。


「顔真っ赤だよ。可愛いね」

「抱きしめても良い？うわ、心臓が煩いね。ううん、嫌じゃない。寧ろ嬉しいな」

「あの時もこんなにドキドキしたの？悟と3人で駅前のカフェに行った時だよ」

「あぁごめんごめん。体もあつくなってきたね。冷房つけようか」


突然の抱擁を交わした後、彼が冷房のリモコンを取ろうと立ち上がった時。


「…ん？どうしたの？」


私の手が彼の手を掴んでいた。

やば、このままじゃ口が滑りそう。

私は、夏油くんが好きだって。

むりむり。ちょっと思わせぶりな事されたからって、調子に乗るな私。


「すき」

「…え」


先に言葉を発したのは私ではなく夏油くんだった。


「私はAが好きだよ。だから君を呼んだんだ。Aは私の事が好き？」

「いや、あの、ちが」

「違うの？」


本人を目の前に好きなんて決して言えなくて固まっていると、彼が微笑んでいるのが視界に入った。


「じゃあ、これから惚れさせれば良いんだね」


はい？

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