11.負傷 ページ11
固く閉じた目を開けると、私の目前に黒い高専の制服が写る。
「…げ、夏油くん」
「大丈夫かい、A…」
「やばい、やばいよ夏油くん!」
夏油くんの脇腹は、呪霊によって切り裂かれ服が赤く染まっている。
咄嗟に手で押さえるが流れる血は止まることを知らず、
みるみるうちに手も服と同じ色に染まる。
私のせいで、私のせいで夏油くんは…。
「A、どうか気にしないで?私は特級術師だ。こんな傷で死ぬ程やわじゃないさ」
「…でも!まだ呪霊がいるの!このままじゃ…」
腰が抜けて動けない私じゃ、この状況を乗り越えられない。
こんな形で死ぬなんて…。
「___術式反転“赫”」
詠唱の瞬間、爆風が私達を襲った。
しばらくすると、目の前にいた呪霊は跡形もなく消えていた。
夏油くんを庇う腕を離して、私達を助けてくれた声の主の元に駆け寄る。
「五条!本当にありがとう…」
「お前ら、ぼさっとしてんなよ。で?傑は大丈夫な訳?」
「高専に帰って処置して貰えばすぐ治るさ。大きな怪我じゃない」
「うん知ってた。お前なら助けてやらなくても生きてたかもな」
2人は軽口を叩きながらも、五条は肩を貸し夏油くんは素直にそれに従っている。
やっぱり親友なんだな、と痛感した。
「おいA、早く戻るぞ。補助監督の人が待ってる」
「…うん」
肩を組み、心なしかゆっくりと歩く2人の横についた。
〈夏油 Side〉
朝の教室。
今日は珍しく硝子は早起きしたらしく、教室内は私と硝子の2人だけ。
ニコチンのお供として、前回の任務について話していた。
「いや、お前馬鹿だよ。Aを助けるために自ら犠牲になるなんて」
「呪霊を飛ばせばよかったって言いたいんだろ?分かってるさ、そんな事。
でも、彼女が命を落とすくらいなら私が代わりになった方がが良いと思ったからね」
「え、夏油お前、Aの事好きなの」
「そうだよ、知らなかった?今回の任務で改めて分かったね。私は彼女が好きみたいだ」
少しも照れる事なく自信満々に答えると、彼女は煙を吐きながら引いていた。
何故だ。
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桜都葉(プロフ) - エーミールさん» 直ってます直ってます!!すいません、お手数おかけしてしまいまして…!!これからも、応援してますね!! (3月20日 22時) (レス) @page3 id: 16abf5aa00 (このIDを非表示/違反報告)
エーミール(プロフ) - 桜都葉さん» イマイチ占ツクの名前設定について理解しておらず…只今設定し直しました!大丈夫ですかね…? (3月20日 21時) (レス) id: 7ca7fd7c36 (このIDを非表示/違反報告)
桜都葉(プロフ) - 勝手ながら、ご指摘させていただきます…!夢主の名前は、( )を付けて(名前)としないと、名前に変換されませんよ…!お話、すごく面白いです!更新楽しみにしてます! (3月20日 16時) (レス) @page3 id: 16abf5aa00 (このIDを非表示/違反報告)
きょん(プロフ) - しろりんさん» ごめんなさい!私の確認不足でした…書き換えておきます><: (3月14日 17時) (レス) id: a0318775f1 (このIDを非表示/違反報告)
しろりん(プロフ) - さしす組が高専の時はガラケーだから、PayPayのアプリは無いですよね? 😮´- (3月14日 17時) (レス) id: 2a6843f9ca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きょん | 作成日時:2024年1月31日 15時