EP.86 ページ39
辺りが真っ白になり、眩しくて目を閉じる。
次に開くとそこは、見慣れた広すぎる地下室。
「Aサン。アナタの居場所はここです」
ぽん、と背中を押す彼岸。前を見ると、彼岸にそっくりな、胡散臭い恰好の男が立っていた。
「おかえりなさい、Aサン。楽しんできましたか?」
「え、あ、まぁ」
「全く、出かけるのは好きにしていいですがせめて一言くらい言ってくださいよ!心配でご飯冷めちゃったじゃないですか!」
かっちーん。
「それ飯食いたかっただけでしょうが!いいじゃん先に食べてれば!私だって不本意でしたよ突然病室に飛ばされるんだもん!」
叫びながら浦原さんにドロップキックをかます。綺麗に避けられたので回転し、両手で地面を捉えて再び飛ぶ。気配を消した回し蹴りは見事頭にクリーンヒットした。
「いったァ!」
「浦原さんガキ共は元気ですか」
「元気っスけど、アタシは?無視っすかねえ」
すたすたと出口を目指す。途中で彼岸を呼んでネックレスにさせた。
『時折くる彼岸の気まぐれ行動は寿命が縮まるからやめような』
『アナタ寿命もう尽きてるのでは?』
『グウの音も出ないわ…』
まあ許すがな。夢だと思えばいいんよ。ちょっと長めの夢だと思えば。
出る前に後ろを振り向き、まだ後頭部をさすっている浦原さんに声をかける。
「浦原さん」
「なんスか…?」
「ただいま」
「…おかえり」
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作者名:杉元 | 作成日時:2020年5月26日 14時