EP.74 ページ27
しまった。意訳しすぎて相手を混乱させてしまったようだ。
正しくは「イケメンだらけの中で女としていたら周りの女(主にJK)の目が怖くなるからいっそ男になったら何も言われないんじゃね?と思ったから」です。長い。
あとわちゃわちゃしてたから現実世界で朝が来そうな時間なんだよね。戻ったら顔のいい警察官による羽交い締めか…関節大変なことになってそう。
「それじゃあ僕は今日仕事だから。またね」
「あ、はい」
黒霧をそれっぽく撒き散らして中村先生は消えた。それ忍者がやるやつでは。
それにしても医者って忙しいのな。怪我とか病気とかかからないようにしよう。まずは手洗いうがいな。これ大事!
「そーいやさ、私がトリップした理由はうっすらと知れたんだけど彼岸のことはなんにも教えてくれなかったんだよね」
ふとさっきの全裸おっさんを思い出す。逆光はいらん。
あのおっさん、私に関しては茶漬けくらいサラサラ話してくれたのに彼岸のことはひの字も出さなかったんだよな…。もしかして嫌われてる?可哀想に…。
「アタシもAサンと同じようなもんなんじゃないスか?」
「多分そうなんだろうなー。彼岸なんか他人事くさくね?」
我が身に起きたことは正しく知っておかないと後悔するぞ。多分。
「いやー、前は興味あったんスけど最近は別に…。Aサンと旅するのが楽しくなってきて」
少し顔を赤くしながら目をそらす。
…ん?
「アタシはできることなら、こうやってずっとAサンと馬鹿やっていたいです」
ふわぁ、と周りに花が咲きそうな優しい笑顔を向ける。
……んん??
…彼岸、あんたって子は……!!
「ずっと、一緒にいような…!」
気がついたら彼岸の手を掴んで泣いていた。うちの相棒がこんなにも尊い一生推させていただきます。
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作者名:杉元 | 作成日時:2020年5月26日 14時