EP.49 ページ2
全く逃げる気のない私を見てため息をつく萩原研二さん。呆れたな?
「はぁ…。君、お名前は?」
「浦原A。いずれ人を救う」
「Aちゃん、俺があの爆弾解除してくるから大人しく待っててね?」
後半の台詞無視したな。本当のことを言ったのに!そして滑らかなちゃん付け。いやでも親友のこともちゃん付けで呼んでたらしいし(友人談)…どっちでもいいか。
とにかく今はこの人を救わねば。そしてドヤする!
「にーちゃん名前は?」
知ってるけどとりあえず名前でも聞こうと思い尋ねる。さっきから私のお口クソ生意気だけど許してね勝手にこうなっちゃうんだ!
「俺?俺は萩原研二だよ」
うーん声がいい!そして顔もいい!名前もいい!フルコンボだドン。
萩原さんが爆弾に手を伸ばしたその時、着信音が響く。お友達ですよね分かります。
楽しくお喋りしている隙に、近くのデカそうな窓を全開にしておく。大人でもぽーんっと出られそうだ。
「あんなもん暑くて着てられっか!」
そんな声が聞こえた。直後離れても分かる電話越しの叫び。頑張れよ公務員せめて防護服着ろ…。
呆れていると「ピッ」と機械音が鳴る。爆弾が作動したのだ。しかも残り5秒。
「くそっ!Aちゃん!今すぐ逃げて!」
『おい萩原、まさか一般人がいるのか!?』
わー凄い慌ててる。そうだよなあ死にたくないよな死なせたくないよなあ。私はどこか他人事のように萩原さんを見つめた。
「…俺だけ逃げて、萩原さんはどうすんの?」
「俺のことはいいから早く!」
俺を置いて先に行けってか?やだね!
タイマーが残り2秒を切る。
私はニヤリと笑い、萩原さんを担いだ。横向きに。要するにお姫様抱っこというやつである。
「結構いけるもんだな」
「は!?え、ちょっと!?」
慌てる萩原さんと床に落ちる携帯を他所に、私はさっき開けた窓から萩原さんごと飛び降りた。
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作者名:杉元 | 作成日時:2020年5月26日 14時