【twst】ファム・ファタル【男主】 (ページ1)

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Betray me fragile ページ1

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「ッ、あの」
僕と、お付き合いしてくださいませんか。

素っ頓狂なことを言う人間を見て、彼は大きく目を見開いた。呆気にとられたような顔は普段は本心でなく、基本的には演技に近しいものだが、今回ばかりは本当に驚いたような表情をしていた。これは彼＿＿＿ジェイド・リーチをここ一年と少し舐めるように見て観察していたからであり、その研究成果といっても過言ではない、向けられる方向を間違った情熱が生み出したものである。

「…僕と、ですか？」

「ええ」

若干食い気味で即答する。
貴方しかいるわけないじゃないか！と声高らかに宣言したかったものの、これ以上粘着していることが露呈してはイメージダウンにつながりかねない。そう思って、言葉を飲み込んだ。
正直滅茶苦茶緊張しているのも事実で、ここ一年ずっと恋い焦がれてきたこの男がどこぞの馬の骨ともつかぬ男に唆されてしまわないか気が気ではなかった。男子校だからと言って油断していたら先を越されてしまう。第一、自分は同性であるこの男に惹かれてしまっているのみ事実なのだし。

「あの、駄目なら駄目だとはっきり仰ってください。そちらのほうが僕も割り切れますし、貴方もなあなあにしたままでしたら夢見が悪いでしょう？」

口から出まかせである。
正直なことを申し上げれば、僕に死角はないとさえ思っている。なにか上げるとすれば、無駄なことを言いやすいくらいで、容姿も成績も人望も家柄もそこそこあるほうだと自負している。それで人間を計るのは10割正しいわけではないと自分でも思うけれど、それはひとつのステータスなのだ。欠陥がなければなおよい。長所はあって困りはしない。
先ほどの言葉も、優しさのように見えてただの演技である。この言葉を⒑人中10人が優しさと呼べるのかどうかを僕は存じ上げないが、念には念を。イメージアップが足かせになる事なんてそうそうない。今までの長き人生の中で学んできたことだった。

「…ふふ、なぜあなたは断られる前提で話を進めるのです？」
「だって、自信があまりにもないもので」
「僕に捧げる自信も？」
「…間違えました。リーチ君に身を捧げる自信以外は、ですかね」

「…よろしい。では、よろしくお願い致しますね」