8.絡まる視線 ページ8
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購買でパンを買ったあと、自販機の前で何を買うか悩んでいると
背後に気配を感じた。
「よう……」
なんだか元気のない雰囲気の澤村だった。
「澤村。どうかしたの？」
「いや………どうかしたというか、俺、お前に何かしたか？もし、何か悪いことしていたなら謝りたい」
急に意味がわからないことを言われて戸惑った。
澤村に何かされただなんて、そんな覚えはない。
「何言ってるの？澤村が私に謝らなきゃいけないようなことしてるわけないじゃん」
「そうか……いや、最近宮下に避けられている気がして……」
無意識に避けていたのは事実だ。
でもそれは澤村自身は全く関係ないこと。
私が菅原と関わるのが怖かったから。
だから菅原から逃げて、澤村のことも自動的に避けてしまっていたから。
「違うの、誤解させてたらごめんね。でも澤村のこと避けてるなんてこと絶対ないから！」
「そうか………良かった」
澤村はいつもの爽やかな笑顔に戻った。
なんか、悪いことしちゃったな。
澤村、真面目だから気にしちゃってたんだな。
「あのさ、俺、英語苦手だから教えてもらえないか？来週のテストやばそうでさ」
「え、ああ。英語ならちょっと自信あるからいいよ。いつ教える？昼休みじゃあんまり時間ないよね……」
「良かったら………日曜、俺んち来るか？俺、数学だったら教えられるから一緒にテスト勉強しないか？」
澤村の家！？これは、絶好のチャンスじゃないか。
「行く！じゃあ、結も誘うね。それじゃあまた後で……」
私がその場を去ろうとすると澤村に腕をつかまれ引き留められた。
「いや、その………宮下と………二人で勉強したいんだ……」
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作者名：茜
| 作成日時：2019年3月22日 11時
