桜の境界 2 (ページ47)

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佐久間のくりくりとした大きな目がさらに開かれる

少し不安を抱えたような、潤んだ瞳でこちらをみてくる

「もしかして、記憶が……？？！」

「…うん」

そんな、どうして、と小さく呟く佐久間

あんまり、嬉しくないのだろうか

佐久間は複雑な顔をしながら何かを考えている

「嬉しく、ない？俺はまた佐久間に会えたんだって、嬉しいよ…？」

「そういうわけじゃ……」

眉を下げて少し悲しそうにしている

このままだと消えてしまいそうな、そんな儚さをまとっている

もう離れたくない、その一心で佐久間の手をぎゅっと強く握る

「…俺、あべちゃんのこと、最後に…」

「それは、俺が頼んだ事だから…辛いことさせて、ごめん」

俺は、優しい佐久間に重いことを背負わせてしまった

佐久間と戦わなければいけなかった事実と絶望で、周りが見えていなかった

「…俺ね、どれだけ時間がかかってもまた佐久間に会えるならなんでもいいって思ってたの」

またいつか、あの時の世界よりもいい世界で出会いたいと思っていた