桜の境界 2 (ページ46)

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ふと、佐久間に目を向けると、ひらりと佐久間の頭に一枚の桜が落ちていくのが見えた

思い出すのはあの時の光景

手を伸ばしても、触れる前に跳ね返されてしまった自分の手

なぜ、と何度も自問自答を繰り返して

ただ涙を流す事しかできなかったあの頃

また跳ね返されてしまったら、と恐怖は募るけど

それでも、俺はたくさんの人に勇気をもらったから

ゆっくりと佐久間の頭に手を伸ばし、ちょこんと乗っている一枚の桜に触れる

「…っ…桜、ついてたよ…？？」

もう、壁はなくなったんだ

記憶を思い出す前には、壁がないことなんて当たり前だと思っていた

けど、そんなのは当たり前じゃなかった

「あべちゃん…？なんで、そんなに泣きそう、なの…？」

伸ばした手を跳ね返される事なく佐久間に触れられることがどれだけ嬉しいことか、やっと気づくことができた

俺たちは、あの時望んだ世界に

境界のない世界に

来れたんだ

「…やっと、頭の桜を取ってあげれたね」