桜の境界 2 (ページ32)

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【東側の奴らが攻めてきた】

幸せで穏やかな日々なんてものは、長くは続かない

無慈悲にも告げられた、開戦の合図

俺は主である照を守りつつ、作戦の指示を出す

どうして、こんなことになってしまったのだろうか

理由は、きっとこちら側にある

平和条約を結びにきていた東側の人を、捕虜にしてしまっているから

照のお父様が条約を結ぶことはなく、さらに領地にも返さずこちらの都合の良いように利用しようとしたせいだ

照は早い段階でなんとかその人を解放したけど、監視の目が強くて東側に返すことはできなかった

俺もその人と話したけど、決して悪い人ではなく、気品溢れる誠実な人だった

きっと彼を返さなかったせいで、宣戦布告と捉えられてしまったのだろう

『今、こちら側の方が優勢だ。阿部、俺は大丈夫だから、ここの応援に行ってくれ』

『照様、しかし…！』

『これは命令だ。…俺は大丈夫だから。こんなとこでは、死ねないんだ』

こうなったらもう、この頑固な照は止められない

本来なら主人のもとを離れるなんてありえないことだけど、仕方がない

『どうか、ご無事で』

拳を突き合わせ、にひひっと独特な笑いを見たのを最後に、俺は部屋を出た