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『あべちゃ……』
『あは、は、見えないから、忘れてたよ……』
俺たちの間にある、透明な壁
なぜ触れられないのか
なぜ頭上の桜の花びらを取ってあげることさえもできないのか
なぜ、なぜ、なぜ
ポロポロと目から溢れる涙が止まらない
こんなにもすぐそばにいるのに
隣で、話しているのに
俺の中で、いつのまにか佐久間の存在が大きくなりすぎてしまっていた
照にあんなこと言っておいて
自分がこんなんだなんて…
苦しいなぁ
『…ごめんね、あべちゃん。今の俺には、その涙を拭いてあげることはできない』
『……』
『…だからさ、未来の話しよう。この境界がなくなった、先の話』
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作者名：しあ | 作成日時：2023年11月18日 8時
