桜の境界 (ページ36)

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幸いにも、遅い時間だったから人はもういなくて、少し横にならせてもらう

すると、店の裏から今1番俺が聞きたく無い、元気な声が聞こえた

「舘様ーーー！！！片付け終わったよーー！！」

「あ、佐久間…今ちょっと静かにしてあげて」

「およよ、どったの〜？」

裏からパタパタとこちらに向かってくる声が聞こえて、慌てて店を出ようとする

今佐久間に会うのはまずい、絶対に顔を合わせたく無い

しかし、フラフラな足取りではしっかりと歩くこともできなくて、出口までが遠く感じる

(あー、くっそ、目の前がぼやけるなぁ…)

ちゃんと睡眠取っとけばよかった、なんて今更後悔しても遅い

裏から佐久間がひょこっと顔を出したのをみて、俺は倒れてしまった

最後に、佐久間が俺の名前を呼ぶ声と暖かい春のようなポカポカの体温だけを感じた