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「ただいまかえりました」
兄の声が聞こえた
けど、後ろを振り向くと兄はおらん
その代わりに兄と同じ格好をした男の人がそこに立っとった
風呂敷のようなものを持っている
お母さんと少し話し始めるとその場に崩れ落ちた
「お母さん！」
私は急いでかけて母の体を支える
母の手元を見ると心臓が音を立てた
いつしか兄に送った私達が写っている写真が挟まって居る手帳と血で汚れた帽子があった
「お…とうさん…っ！！」
大声で呼んでいるが声が震えてうまく出ない
___Aは絵が上手いのぉ___
初めて絵を褒めてくれたのは兄じゃった
私はそれが嬉しくてたしかもっと褒めてもらいたいからたくさん書いたっけ
４歳しか離れていないけどすごく頼もしい兄だ
「どうした！！…！かあさん！」
私たちの様子を見て何かを察したお父さんはすぐさま駆け寄ってきた
そして母さんの手元に帽子と手帳を見て滅多に泣かないお父さんが涙を流した
手帳に挟まってる写真を手に取り裏に返すと兄のと思われる字で短く
俺の分まで長生きしてください
皆様の安全を心の底から願っています
と書かれていた
「森助さんは凄く立派な人でありました…！
いつも弱音を吐かず…っ！俺たちに
死にに行くな、生き延びろ…とっ…！
そう…っ言ってくださいました…っ！！」
お母さんはただ頷きながら涙を流し帽子を撫でていた
兄はいつも私の絵の話やお母さんのご飯が美味しいとか、家族のことばかり話してはったらしい
自分の死期を感じてこの手帳をこの人に渡したとか
兄が亡くなった場所に行くと帽子しかなかったようだ
そう、爆弾で跡形もなくふっとんだのだ
「んん…お兄ちゃん…？」
寝ていた幸子が上から降りてきた
お兄ちゃん、確かにそう言った
そんな言葉にまた涙が流れそうになるがぐっと抑える
「どうしてお兄ちゃんだと思ったんだ？」
お父さんが優しくそう聞く
「ただいまっておにいちゃんのこえがきこえたの」
お母さんが再び涙を流し始めた
お父さんも顔が歪んで居る
___ただいまかえりました___
確かに私も聞こえた
なんだ、そっか
「お兄ちゃん、ちゃんと帰って来はったんか
さちちゃん、あのねお兄ちゃんはお星様になったんだよ」
「おほしさまぁ？」
「そう、お星様になってさちちゃんのところに戻ってきたんだよ」
まだ幼いから意味は理解していないのだろう
そっかぁと言い嬉しそうな顔をした
おかえりお兄ちゃん、そしてお疲れ様
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桜井直（なお）(プロフ) - 続きです。戦争の事をよく知らない人たちにも、広めたほうがいいなと思うような作品でした。大好きで大切な作品になりました。 (2023年2月4日 11時) (
レス) id: f84b7d123d (このIDを非表示/違反報告)
桜井直（なお）(プロフ) - 今、小学校の社会の歴史で原爆のところを勉強しています。そのときは、日本が負けたとか大勢の死者が出たなど、しか教えれられなかったのですが、この作品を見たら、戦争って悲しいくて悲惨なんだなって思いました。この作品に出会えてうれしいです。 (2023年2月4日 10時) (レス) id: f84b7d123d (このIDを非表示/違反報告)
瞳子 - この小説で戦争の悲惨さを改めて感じることができました。今の社会では、戦争を行ってしまうのも仕方がないという考え方もありますが、やはり戦争は行いたくないですね。この作品を投稿していただきありがとうございます。私の大好きな作品になりました。 (2023年1月26日 16時) (レス) @page31 id: 81e852d89e (このIDを非表示/違反報告)
未麟 - なんだか戦争を見てきたようでびっくりしました。それと同時に、私たちがこんなに笑って過ごせているのはかつての人の努力のおかげなのだと感じて、言葉にできない思いでいっぱいです。この作品を世に出していただきありがとうございます。 (2020年7月31日 21時) (レス) id: d440222276 (このIDを非表示/違反報告)
ﾏﾌﾕ - アスパらがすさん、このお話を作ってくれてありがとうございます。今の時代は平和となっておりますが、昔はこんな風に愛する人をそして愛する人の御友人が亡くなるといことかが当たり前でしたのね。今では考えられませんが、こんなにいい作品をありがとうございます。 (2019年2月22日 23時) (レス) id: a3f8b2e990 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アスパらがす | 作成日時：2018年8月15日 1時
