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『聴きにくる？』
そう言われて私は無言で頷いた。
どこへ行くかも知らされず、ただ先輩の後をついて歩く。知っている道から、初めて見る通りに出て、細い路地も歩いたりして……まるで猫の散歩に着いて行くようだ。
その間、先輩は一言も喋らなかった。
私も、何も言わなかった。
凄くワクワクした気持ちだったから。
WZ「ここ」
ようやく先輩が足を止めたのは、レトロな雰囲気の漂う喫茶店兼バーのようなお店だった。
聴きにくる？って言ったけど、お茶するつもりなのかなあ、なんて思いながら一緒に中に入ると、真っ先に立派なグランドピアノが置かれているのが目に入った。
「わあ……」
常連さんらしきお客さんもちらほらいて、各々自分の時間を過ごしている感じ。けれど、先輩がピアノに近づくにつれ、その人達の視線が此方に向けられた。
先輩はそんなの全く気にせず、荷物を適当な席に置いて、ピアノのカバーを開け出した。
「あの、私、どうしたらいいですか？」
WZ「………そこ」
先輩が指差したのはピアノの真横の座席。
言われた通りに腰掛けると、先輩がそれを見計らったかのようにピアノを弾き始めた。
いつも弾いてくれる曲とは違う、けど、聴いたことのない曲。
ビリビリと体に訴えてくるような力強い曲調に、私の鼓動も速くなった。
一回聴くだけじゃ全く記憶に残せそうにないテンポ。先輩の指遣いを目で追うので精一杯だ。
こんな、激しい曲だって弾けちゃうんだ。
凄い。
WZ「……………」
曲が終わった。先輩がゆっくりと肩で息をすると、お客さんから拍手が上がった。私も同じように拍手をした。
「凄い……！これも、先輩が作ったんですか？」
WZ「……ここで弾くやつは大体作ったやつ」
てことは、定期的にここで演奏をしているのだろう。驚いている私の元に、店のマスターらしきおじさんが紅茶を二つ持って来てくれた。
会釈をすると、にこりと優しく微笑んでくれた。
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NK(プロフ) - すごく楽しく読ませていただきました！主人公がすごく可愛くて、ウジさんの少しツンとした喋り方もスっと入ってきて、読んでいてもどかしくもドキドキで胸が熱くなりました……とても好きです……！陰ながら応援しております。 (2021年7月20日 23時) (
レス) id: e1c6fa8330 (このIDを非表示/違反報告)
みほ(プロフ) - コメント失礼します！ウジくんとのお話キュンキュンしながら読ませていただきました！続きが読める日を心待ちにしてます！ (2020年11月2日 19時) (レス) id: 00846102a7 (このIDを非表示/違反報告)
葵唯(プロフ) - すごくキュンキュンしながら、読ませていただきました！更新がんばってください！ (2020年10月25日 8時) (レス) id: d29e67c0f9 (このIDを非表示/違反報告)
ヘジュン(プロフ) - コメント失礼します！お話すごく面白くて読むのがとても楽しいです！ずっと応援してます！頑張ってください！！！ (2020年6月7日 22時) (レス) id: 63eeaaeb0a (このIDを非表示/違反報告)
モノトーン - はじめまして！このお話、とっても可愛いくて大好きなんです！上手く言えないんですけど、もう、ほんとにドストライクでさいこうです！！更新応援してます！無理せず、頑張ってください！ (2020年4月25日 12時) (レス) id: ec5d80a5b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：mi | 作成日時：2017年4月16日 13時
