close 14 - �� ページ9
.
Aちゃんを両手で抱えながら、なるべく人気のない道を選び保健室へと向かう。真下からチラチラと時より視線が注がれるが生憎こっちはそれに対応出来るほど心の余裕がなかった。
…………薄い、ピンク……。
張り付いたブラウス。
くっきりとまでは分からなくても色はハッキリと分かる下着の色を思い出してしまい、どこか気まずい。
きっとAちゃん本人は気がついていないのだろう。
この狙っていない素の感じが逆に、なんというか、本当にやめて欲しい。
この子、危機感と言うものを身につけて欲しい。
少し前、俺と同じクラスの女子たちがAちゃんをプールに突き落とした。本当なら先生達に任せるはずだったそれを見ていられなくて、咄嗟に飛び出してしまったが、後のことはうらたさんや坂田、センラがどうにかやってくれるだろう。
「あの……、」
「え。あ。どうしたの？」
「その……、重くないですか……？」
恥ずかしそうに顔を赤らめながらそう問いかけるAちゃん。
『重くないですか？』の質問でやっと今重力を感じる。そういえばこの子、超軽い。その質問の意味すら分からなくなるくらい今まで『重い』なんて単語は浮かんでこなかった。
「ううん。全然。寧ろ軽いくらい」
「…………、無理しなくていいですよ……？」
いや。本当に軽いんだって。
でも、女の子としてはきっと気になるところなのだろう。
当の男子はというとそんな事気にしていないというのに。
そんな会話を繰り広げている間に保健室へとついた。足癖の悪さがここで出てしまったのかAちゃんを抱えたまま右足を使って扉を開ける。
「失礼しまーす」
当然、保健室の中にはそらる先生が待ってました。と言わんばかりの表情で立っていたのだが、俺がAちゃんをお姫様抱っこしているのをみてとんでもないことを言い出した。
「なに。もうそういう事？」
「違うから」
「？」
ぎゅっとそらる先生にAちゃんの下着姿を見せないように抱え直し、睨みつける。
「じゃあ制服のまま泳いだの？」
「なわけないでしょ！」
「だよね」
「まだプール開きには早いしね」なんていうそらる先生だが、そういう問題じゃない。心の中でツッコんでいるとそらる先生はゆっくりと歩を進めてきた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 328人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
はる - 初コメ失礼します!!この小説大好きです!!これからも頑張ってください!!応援しています!! (12月4日 23時) (
レス) @page20 id: 41084e4d77 (このIDを非表示/違反報告)
りょくちゃ(プロフ) - 続編待ってました。前回もドキドキしましたが、今回は切なくてキュンキュンしっぱなしです！更新楽しみです！！ (2021年10月4日 17時) (レス) id: f217387575 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
