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「あぁ、いや……！なんて言うの、その。小動物みたいな、感じ？別に、変な意味とかはなくて……！」
「も、もも勿論です……！」
スマートに褒め言葉が出てくる人は素敵な人だと教わった。それは案外間違いではなくて、今目の前にいる志麻せんぱいがそれだけ素敵な人だっただけなのだろう。
だからあまり深く言葉の意味を感じてはいけない。
期待してはいけない。
そのふたつに敏感になってしまうと余計に傷つく事が増えるだけだからだ。それは、元の彼氏の時に教わったもの。だから先程志麻せんぱいの口からぽっと出た言葉の表面上だけを受け取り「ありがとうございます」とお礼を返した。
「あ、いや、……別に……」
「……」
「……」
嫌な沈黙という訳では無い。ただ緊張の含んだその空気はどことなく二人ともお互いを意識してしまっているようで落ち着けない。のに。
嫌じゃ、ない。なんて、変、なのかな……。
ドキドキと緊張のせいで心臓が早くなる。何か口にしなければ一生温かい緊張に背中を預けてしまいそうだ。
「あ、あのさ……」
「は、はいっ！なんでしょう……！」
ピンと伸びる背中。何を言われてもいいように身構えていれば、それを見て志麻せんぱいは、ははっ、と声に出して笑った。どうやら志麻せんぱいの中で緊張が解れたようで、それを察してわたしも変な力を抜いてみる。
「前にさ、放課後カフェに行こうって話してたの覚えてる……？」
「はい。覚えてます」
「その……、明日、良かったら行きたいなぁって」
どうかな？と不安げにわたしを見つめる志麻せんぱい。断られるかもしれない。嫌かもしれない。そんな不安を含んだ問いかけに優しく撫でるように心の言葉をそのまま口に出す。
「はい。勿論です」
また、明日。志麻せんぱいと会える。
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