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「あ、あの、いきなりすみませ…、」
「ううん。大丈夫？」
彼氏に振られてしまって、泣いていたと話した女の子はコクコクと目をギュッと瞑って頷く。
その姿がなんだか新鮮で、もしかしたら自分から話すのが苦手な子なのかもしれないな、なんて思った。
「それで、ご迷惑をかけてしまったので、お礼をしたくて…」
「え、そんなんいいよ。俺がたまたまあそこ通りかかっただけだし」
本当にたまたま。
しらない女の子に告白されて、断った帰りに蹲ってる女の子が居て心配になって声をかけただけの事。
だからお礼なんて本当に良かったのだ。
「もし、要らなかったら捨ててもいいですし、その、お友達とかと…」
スっと差し出されたのは二枚組のスイーツパラダイスの割引券だった。
「えっ」
「あ、…ご、ごめんなさい。甘いものが苦手でしたら…」
「ううん！めっちゃ好き！」
「え……？」
今日の昼食も甘いチョコレートのクロワッサンとかミルク揚げパンとか買おうか迷ってたんだけど、菓子パンって割と高かったりするんだよなーー！
学生の財布には厳しい。
お礼なんて本当にいらないと思っていたけれど、いざ欲しい物を渡されるとテンションが上がってしまう。
「これ、ホントに貰っていいの！？」
「え、えっと…。はい」
「マジィ！？ありがとう！！うらたさーん！！」
早速今日の放課後に使おうとその場で後ろの方にいるうらたさんを呼ぶ。きっと坂田とセンラは部活だろうから、暇なのはうらたさんくらいだろう。
我ながら交友関係が狭いなと思いつつ今の現状に不満を持っているわけではなかった為気にしてもいなかった。
「なにー？」
ヒョコッと俺の隣に来たうらたさんは彼女を見るなり、笑顔で「どうも」と挨拶する。それにつられて彼女も深く頭を下げて「こ、こんにちは…」と震えた声で返した。
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