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ちょっと崩れた望ちゃんの敬語にクスリと笑ってしまう。確か…、志麻せんぱいもそらる先生に対して親しげに話していた気がする。
……懐かしい。
そう思うのは最近志麻せんぱいにも会っていないからだろう。普通はそうだ。用事がないなら会いに行かない。増してや今は避けているんだから会わないのが正しいのだ。
「歩くの大変だと思うから、市川さん手伝ってあげて」
「はい！勿論です！！」
「ありがとう。望ちゃん」
「いいよぉ、このくらい。寧ろもっと頼って！」
望ちゃんの優しい言葉に、何度も頷く。頼り方は学校では教わらない。だからイマイチよく分かっていないけれど、少なくとも望ちゃんの前で隠し事をするのは無しにしようと思った。
「体育は休んで。一時間ここで休んでいきな」
「え、でも……」
「怪我した生徒をそのまま帰すなんて、俺にさせるつもり？」
「い、いえ…そういう訳では…」
「ん。よろしい」
わっ……。
そらる先生って、頭とか、撫でるんだ……。
ぽんぽんと軽く数回撫でるその仕草にちょっとドキッとしてしまう。大人の余裕というか、妹扱いされてるようなその感じが久しぶりで少しうれしい…。
でも、望ちゃんが言ってた噂が本当なら、これは、アウトなのでは…！
コロコロ表情を変えてしまうわたしを見てそらる先生はいたずらっぽく笑った。
「市川さんは体育戻ってね」
「え！！？私もここに……！」
「怪我してないんでしょ。矢野先生にも伝言して欲しいし、何より次バレーするんでしょ」
カチャンと治療に使った器具を直す中、そらる先生は望ちゃんに向かって不敵な笑みを浮かべた。
クールな人だと思っていたけれど、案外話してみるとそらる先生は感情が表情に出やすいタイプの人なのかもしれない。
「やり返すチャンスだと俺は思うけど。期待の新人アタッカー」
え。
「！！私、行ってきます！！A、また終わったら迎えに来るからね」
「あっ……望ちゃ…！」
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